ナイキは循環型社会に向けたビジョン「Move to Zero」を掲げて、サステナブルなイノベーションの実現に取り組んでいます。主な活動内容は、環境負荷の軽減を目指した素材の活用、サステナビリティを意識したバリューチェーンの実現、より良いものづくりのための情報発信、企業とのコラボレーションです。世界中でスポーツを楽しめる環境を守るためにナイキは歩みを続けています。(記者:エシカちゃん)
年間平均10億本ものプラスティックボトルをウェアの原料などにリサイクル
ナイキはスポーツウェアメーカーとして、「Move to Zero」という地球を守るための野心的なビジョンを掲げて、CO2や生産活動で生じる廃棄物ゼロを目指しています。「スポーツの未来を守ることは、地球の未来を守ることと同じ」という思いを胸に、サステナビリティを深く追求しているのです。
スポーツウェアを生産するプロセスでの環境負荷をできるだけ低く抑え、ブランドを通じて地球にポジティブな影響をもたらそうとしています。「Move to Zero」の取り組みには、リサイクルができないプラスティックの排除や、環境に優しい素材開発への投資などを含んでいます。
これまで毎年、平均で10億本ものプラスティックボトルをフットボールウェアの原料などに再利用し、再生エネルギーを活用している物流センターを開設してきたナイキ。現在の具体的な取り組みを深掘りします。
廃棄物をナイキ製品やランニングトラック、カーペットの原料に活用する
ナイキが手掛けているのは、環境負荷の低減と画期的なパフォーマンスの両立を目指した製品づくりです。現在、ナイキは、フットウエアに使うポリエステルのうち38%をリサイクル素材でまかっています。工場で生まれたスクラップは全体の55%を再利用しているとか。また、ナイキのブランドチームは、生産過程で生じる端切れの処理や環境に優しい染色技術といった細かなところまで目配りしています。
これらの施策を活かして、廃棄物をリユースしたフットウエアブランド「スペース ヒッピー コレクション」を展開。さらに消費者がナイキ製品のリサイクルや修理をするためのプログラムを運営しています。2025年には、2020年に比べて10倍の製品を寄付、修理、再生するという力強い目標を掲げています。既に100万点以上のアイテムを寄付してきたナイキにふさわしいコミットメントですね。
再生という観点で言うと、誕生から30年以上が経ったリサイクル素材、ナイキ グラインドが象徴的です。廃棄物や使用済みのフットウエアを原料にしたこの素材はナイキの製品から、遊び場、ランニングトラックの路面、ホームセンターのタイル、携帯電話のケース、カーペットの裏地にまで幅広く活躍しています。
バリューチェーン全体でCO2排出量の減少に取り組む
ものづくりに加え、環境保護に欠かせないのは製造、物流、販売、リサイクルをトータルでみたバリューチェーン全体での対策です。生産プロセスでCO2をできるだけ排出しない手法を編み出し、ビジネスパートナーと協力しながらリサイクル活動を強化。責任ある調達活動を担当しているバイスプレジデントのマリン・グラハムは「サプライヤー(仕入先)はナイキに関わる業務に限らず、会社全体のビジネスを(サステナブルに)変革しています」と取引先へのプラス効果に自信を見せています。
そして、持続可能な社会づくりには会社の方針を情報発信することが必要不可欠です。ナイキは2019年に、「循環性:未来のデザインへの指針」と名付けたワークブックを作成しました。ブックを通じて、デザイナーたちに環境に配慮したニューノーマルのものづくりを提案しています。バイスプレジデントのシャナ・ハナは「製品の作り手として、『害を抑える』ことから『良いことをする』ためにはどうしたら良いか考えなくてはいけません」とは話しています。こういった考えを幅広く普及させることが地球のより良い未来につながるのですね。
社外とのコラボで環境に優しいイノベーティブなアイテムの開発へ
もちろん、ナイキは情報発信に加えて社外とのコラボレーションに意欲的です。他のアパレル企業と力を合わせることで、環境に配慮したコラボアイテムの開発や政府への提言を行っていきます。アスリートを含むたくさんの消費者がデザイン性や機能性、環境性能に優れた製品を体験できるチャンスが増えるでしょう。
チーフ・サステイナビリティ・オフィサー(CSO)のノエル・キンダーは「一歩ずつ総合的なアプローチを進めることが、循環する未来に向かうために重要です。そのようなアプローチから、順調に創造的なイノベーションが生まれています」と力を込めています。着実な歩みを通じて推し進める「Move to Zero」によって、循環型社会の到来が少しずつ近付きそうです。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp