エコノミーからエコロジー、そしてエシカルへ。モノを大量に生産・消費し、使い捨ててしまうシステムから脱却し、身体的・精神的・社会的に満たされたウェルビーイングを追求する動きがあちこちで生まれています。今回、ethica編集部は「世界にいいことプロジェクト」として、一般社団法人Earth Companyによるロヒンギャ難民へリサイクル石けんを届ける「Eco-Soap Bank」のためのクラウドファンディングと、途上国の衛生問題を解決するサラヤの「100万人手洗いプロジェクト」をご紹介します。これらの取り組みに “ニューノーマル”な豊かさへのヒントがありそうです。(記者:エシカちゃん)
Earth Companyがロヒンギャ難民にリサイクル石けんを届けるEco-Soap Bankを支援
皆さんはEarth Companyをご存知でしょうか。グローバル企業で働いていたエリートの道から社会貢献活動に転じた濱川明日香さん、知宏さん夫婦が創設した一般社団法人です。主な取り組みの一つとして、SDGsを推進することで未来を大きく変え得るチェンジメーカーを「IMPACT HERO」として選出しています。
今年は「IMPACT HERO」にEco-Soap Bankを運営しているサミール・ラカーニさんを選び、彼が取り組むロヒンギャ難民にリサイクル石けんを届ける活動をクラウドファンディングでサポートします。
「予防できるはずの病気にかかって亡くなる人を一人でも減らしたい」という思いから2014年にEco-Soap Bankを立ち上げたサミールさん。サミールさんは世界中の工場から未使用のまま捨てられてしまう石けんを回収、経済的困難にある女性をアジアやアフリカの計5カ国の工場で雇用しリサイクルすることで、各国の国際機関やNGOを通じてカンボジアやネパールなどに届けています。
現在、世界中の工場では年間2億5千万個もの石けんが生産過程で廃棄されているそうです。石けんのムダな廃棄をなくし、貧しい女性たちに雇用の場を提供して石けんをリサイクルしながら、「石けんは高過ぎて買えない」と悩んでいる途上国の人たちにそれらを提供する。まさに三方よしの考え方ですね。
今回、サミールさんは国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)から依頼を受け、ロヒンギャ難民の支援に取り掛かりました。バングラデシュの難民キャンプでは、92万人ものロヒンギャの人々が厳しい環境での生活を強いられています。手洗い習慣が不十分な中で、下痢や感染症にかかる人が増加。石けんによる手洗いで難民の命や健康を助けるため、Eco-Soap Bankは今回、過去最大規模となるサポートを行います。
難民の命を守るためにクラウドファンディングで石けん製造機を購入する
そのために、Eco-Soap Bankはカンボジアの工場に3台の石けん製造機を新設する予定です。今回は機械の購入費用をクラウドファンディングで募集します。既にEco-Soap Bankの取り組みに賛同したアメリカの企業が寄付を決めており、クラウドファンディングでは購入費(6万ドル)の半額にあたる寄付を集めます。目標支援額は日本円にして360万円で、内訳は機械3台分の金額330万円とコーディネーション費 30万円です。
クラウドファンディングにご興味のある方はオフィシャルサイトをご覧下さい。5月16日(月)までに、仮に1万円を寄付するとアメリカのスポンサー企業がそこに1万円を上乗せし、合計2万円をEco-Soap Bankに送るというキャンペーンを実施しています。自分の善意に海外企業が思いを重ねてくれる。とっても気持ちが温かくなりますね。
Earth Companyは今後3年間、「IMPACT HERO」のサミールをバックアップします。「捨てられるはずの石けんが、命を守るツールに」――。途上国の人たちの健康を助け、廃棄物やそれに伴う処分コストを削減し、女性のエンパワーメントにもつながる活動に今後も注目したいと思います。
43万人の難民にリサイクル石けんを届けたい!
https://www.earthcompany.info/ja/eco-soap-bank_2022/
Earth Company 代表理事 濱川明日香さんが日本初の「エシカル白書」に執筆協力
5月17日に刊行される日本初の「エシカル白書」にEarth Company 代表理事 濱川明日香さんが執筆協力しました。「エシカル白書」では、ジャーナリストの国谷裕子さんとの対談や、エシカルを取り巻く国内外の動向を紹介。「エシカルとは何か?」という問いにこの一冊で幅広く答えています。
さらに、Earth Companyでは学校や企業のサーキュラーシフトを行う実践型のプログラム「Operation Green」も提供しています。Earth Companyの活動を通じて、エシカルでサーキュラーな暮らしの広げ方について考えてみましょう。
ウガンダの衛生問題を解決するサラヤの「100万人の手洗いプロジェクト」
今年で創業70周年を迎えたサラヤ。戦後日本で蔓延した赤痢などの感染症を防ぐため、日本で初めて薬用石けん液を開発し、様々な感染症の予防に貢献してきました。現在も、アルコール手指消毒剤をはじめとする様々な洗浄・消毒剤を開発し、日本のみならず世界の衛生向上に貢献しています。
サラヤはこれまで培ってきたノウハウをもとに2010年、100万人の手洗いプロジェクトをスタート。サラヤはまず日本ユニセフ協会と協議し、20年にも及んだ内戦を経て避難生活から戻ってきた住民の健康のために正しい手洗いの普及が求められているウガンダ共和国を支援対象に選びました。
サラヤは対象商品の売り上げの1%を日本ユニセフ協会に寄付することで、ユニセフのウガンダにおける手洗い促進活動をサポートしています。寄付の年間目標金額は1,000万円以上です。
現地での活動は、ウガンダでの手洗い設備の建設、子どもや母親向けに手洗いをはじめとした衛生習慣の普及・啓発、教材やラジオ放送を使った手洗いキャンペーンなどさまざまです。2020年12月までに、教材や手洗い設備を国内59カ所の保健センターや38カ所の学校、6カ所の公共施設、28カ所の事業所、7カ所の市場に提供しています。
プロジェクトを通じてウガンダの手洗い普及率が飛躍的にアップ!
サラヤはウガンダの国民に適切な衛生習慣を根付かせることで、現地での乳幼児の死亡率低下に成功しています。ある統計では、正しい手洗いでウガンダの乳幼児の2大死因である下痢性疾患と急性肺炎をそれぞれ35〜50%と23%も減らすことができるとか。活動の結果、ウガンダにおける家庭での石けんを使った手洗い普及率は2006年度の14%から2019年度には38%までアップしました。学校でのトイレ後の石けんを使用した手洗い率は、2019年度で58%にまで伸びています。
繰り返される内戦の結果、水をはじめとしたインフラ環境が未整備だったウガンダ。サラヤのプロジェクトを通じて現地の衛生環境や子供たちの健康状態が改善し、現在では「手洗い」を「SARAYA」と言うほど活動が広まりつつあります。私たちもサラヤの商品を購入することで、遠くにいながらウガンダの人たちの命や健康を救うことができる。これも新しい豊かさの一つの形と言えますね。
100万人の手洗いプロジェクト
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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