TBS秋沢淳子さん鼎談(第7話)留学経験が全ての起点
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TBS秋沢淳子さん鼎談(第7話)留学経験が全ての起点

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

パシフィコ横浜で開催された「サステナブル・ブランド国際会議2022横浜」(SB 2022 YOKOHAMA)に基調講演の1人として参加されたTBSの元アナウンサーで現在は総務局CSR推進部で部長を務める秋沢淳子さん。

社業以外でも2000年に国際交流・教育支援・国際協力をテーマにしたNGO団体「スプートニクインターナショナル」を設立しスリランカで積極的に活動するなど多方面で活躍されています。

そんな秋沢さんに「ethica」編集長・大谷賢太郎、副編集長・萱島礼香がお話をお聞きしました。

【目次】 TBS秋沢淳子さん鼎談

(第1話)アジア最大級の短編映像フェスティバル「DigiCon6」

(第2話)Intercultural Programsで異文化体験留学

(第3話)NGO「スプートニクインターナショナル」を設立

(第4話)持続可能な途上国アーティスト支援「ホワイト・キャンバス」

(第5話)仕事とプライベートの両立

(第6話)グローバルとインターナショナルの違い

(第7話)留学経験が全ての起点

(第8話)やっぱり自分って食べ物でできている

ニュージーランドでは「あなたは何がしたいの?」ということからスタート

大谷: 高校時代のニュージーランドでの留学経験が秋沢さんの全ての起点かもしれないですね。

秋沢: そうですね。私の人生の全ての原点がそこにあって、目からウロコがはがれおちる経験をニュージーランドでしているんです。

大谷: それはどんなことですか?

秋沢: 私、自分のこれまでの人生、何て無駄だったんだろうって思ったんですよ。その時15歳でした。ニュージーランドでは人々が自分の人生を自分で決めて、何を学びたいのか、何をしたいのか、何のためにこれをするのかということをちゃんと考えながら生きているというのに、私はというと、それまで、「はい、これがあなたの1学期の時間割ですよ、1時間目は国語で2時間目は算数です」っという具合に全て決められた人生だった。昼は給食で食べるものはこれです。終わったらお掃除の時間です。道具はこれでやり方はこうですっていわれて、終わったら時間が来たから帰りましょうという、小学校の時も中学校の時も全部決められていました。自分で決めてやったことって、たぶん何1つなかったんですよ。

ニュージーランドにはそういうことが一切存在しませんでした。あなたは何がしたいの?というところからスタートだから、えっという感じでした。学校での授業も時間割も全て自分で決めるんです。

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

大谷: まるで大学生みたいじゃないですか、高校生なのに。

秋沢: そうなんですよ。自分で時間割を決めるから、授業によって教室も移動するし、一緒に受けている友達も変わる・・・。

大谷: 日本の経済って今、上がりもしない下がりもしない踊り場状態が続いているじゃないですか。結局、海外に比べて相対的に、付加価値を生み出すことが難しくなり、課題が山積しています。正解が見つけずらい時代とも言えます。時間割通りにこなせる能力ってたぶんアメリカを手本に、より生産性が高くて真面目にコツコツ作れることが貿易黒字を生んでいたんでしょうね。

でも、これからは答え合わせ的な能力ではなく、自分でこれはこうしていこうとか、イノベーションできるような人材が絶対に必要だと思うんですよ。

秋沢: そうです、必要です。でも、今のような教育をしていると日本にはそんな人材は絶対に出てこないですよ。

TBS 秋沢淳子 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

萱島: うちにも中高生の子どもがいて、そんな話をよくしています。特に高校生は将来の進路を考える大切な時期なのに、立ち止まって考える時間もないまま大学受験が近づいてくるという感じですね。

秋沢: 留学は絶対おすすめです。できれば高校時代に行くのがベストですね。AFSはコロナ禍の今でも派遣や受け入れの活動をしているので、ぜひ利用してください。

萱島: 大学生になる頃にはコロナも落ち着いてると思うので、行かせてみたいです。

秋沢: 一度、子供たちを、“大人がスケジュール化した線路”から外してあげる作業をしてあげると、子どもは成長しますよ。伸びしろがすごくてビックリするくらい。

日本人のアイデンティティに気づかせてくれたAFSに感謝

大谷: 15歳から20歳って本当にいろいろなことを吸収できる時期ですからね。

秋沢: 私は15歳の時に、15年間生きてきて、何て無駄なことをしていたのかって、ニュージーランドで本当に気づく事ができました。こんな世界が広がっていたんだなと、あらためて世界に感動しました。だから、留学して本当によかったと思いますし、ちゃんとしたプログラムで行けたというのもよかったですね。

あなたはあくまでも日本人であって、海外に1年いてその国の言葉がペラペラになっても、あなたは日本人なんですよという日本人のアイデンティティに気づかせてくれたAFSに感謝でした。あと、もちろん言語である英語も大事です。それは自分が何をしたいのかというのを世界に向かって発信する時、絶対に大事な言葉になってくるからなんですよ。だから、ブロークンで構わないからしゃべれるようになる努力をするというのは、日本が本当に真剣にやらなくてはいけないことだと思っています。

だって、シンガポールやマレーシア、タイや香港を見てくださいよ。かつて発展途上国といわれていたのにあっという間に追いつき、抜こうとしている、いや、抜き去られていますよね。例えばシンガポールの若者たちは中華、マレー、インド、アラブ、それぞれの民族の国の言葉に中国語、英語をしゃべりますから。教育のレベルも高いし、国民の学ぶ意欲も高い。そんな人たちと日本人は競争しないといけないのです。英語がしゃべれないのって、本当に国際社会では厳しいところに立つことになります。

大谷: 最近コンビニに行くと、アジア系の優秀な学生さんがアルバイトをしていて、流暢に日本語を話して、これじゃあ勝てないなとたしかに思いますね。

秋沢: 英語がしゃべれないと、世界の人たちと一緒によりよい世界を作っていきましょうというフィールドでも、十分に活躍できないですよね。

ちょっと残念なのはまだまだ職場での英語の苦手意識が高いという事です。

TBSは「ビジョン2030」を打ち出して、2030年までに、デジタル&グローバルなフィールドで活躍するメディアカンパニーからコンテンツカンパニーに生まれ変わろうとしています。多メディア化した世界で生き残りをかけ、進化しようとしています。

大谷: たしかにテレビは今が変革期かもしれないですね。

秋沢: 話は変わりますが、「ethica」を初めて見た時、ああ、こういう媒体もあるんだって感心したんですよ。

大谷: ありがとうございます。立ち上げて5年間くらいは何やってんのっていわれましたよ(笑)。

秋沢: やっと時代が追いついてきたということじゃないですかね。

(第8話に続く)

 

続きを読む(第8話)>>>

 

 

秋沢淳子

株式会社TBSテレビ/株式会社TBSホールディングス

総務局 CSR推進部 部長、DigiCon6 Asia事務局 海外ディレクター

一般社団法人 Sputnik International
創設理事

公益財団法人 AFS日本協会
理事

ethica副編集長 萱島礼香

法政大学文学部卒。総合不動産会社に新卒入社。「都市と自然との共生」をテーマに屋上や公開空地の緑化をすすめるコミュニティ組織の立ち上げを行う。IT関連企業に転職後はwebディレクターを経験。主なプロジェクトには、Sony Drive、リクルート進学ネットなどがある。その後、研究機関から発足したNPO法人に参加し、街の歴史・見どころを紹介する情報施設の運営を担当した。2018年11月にwebマガジン「ethica」の副編集長に就任。

聞き手:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業10期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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