(第44話)娘のお誕生日プレゼント。「欲しいもの」と「あげたいもの」の狭間で【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
独自記事
このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
(第44話)娘のお誕生日プレゼント。「欲しいもの」と「あげたいもの」の狭間で【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

「プレゼント、アイスクリームやさんのあそぶやつがいいなぁ」

少しさかのぼった話になるのですが、この4月に娘が4歳になりました。

 

お誕生日といえば、ケーキとプレゼント。

イベント大好きな娘は、クリスマスが終わったときから、次のお誕生日を、それはそれは楽しみにしていて「なぁ、あとなんかいねたら、おたんじょうび!?」「どんなケーキかなー。くまさんのがいいなぁ」と首を長くしてこの日を待っていたのでした。

 

そして、直前まで母を悩ませていたのが娘のリクエストするプレゼント。

 

遊びに行ったお友達のおうちにあった、某キャラクターのアイスクリーム屋さんとレジのセットのおもちゃが娘の心をガッチリと掴んだようで、ことあるごとに「プレゼント、アイスクリームやさんのあそぶやつがいいなぁ」とお願いされていたのでした。

手作りのアイスクリームやさんをプレゼント

子どもにどんなおもちゃを用意するか、考え方はさまざまだと思いますが、私はできるだけ自然素材で、いろいろな遊び方ができて、ずっと長く使えるものに触れて欲しいなぁと考えています。

 

プラスチック製の色とりどりのおもちゃは、きっと子どもにとっては魅力的なのでしょうが(私も幼いころはそうでした)、おもちゃ同士が触れ合う音や、入り交じると目がチカチカする感じとか、遊ばなくなったおもちゃの行く末を考えると、どうしても悩んでしまう自分がいます……。

 

また、木製のおもちゃや木の実などであれば、多少散らかっていても、そんなにストレスを感じることなく、遊ぶ姿をおおらかに見守っていられるなぁという気持ちも。

 

そんな母の事情で、娘の気持ちには応えてあげたいけれど、ピッとボタンを押せば「いらっしゃいませー!」「アイスクリームはいかがですかぁ?」と呼びかけるおもちゃをわが家に迎え入れる踏ん切りはなかなかつきません。

 

木製、バイオプラスチック、布製、あらゆるアイスクリーム屋さんのおもちゃセットをネットで調べに調べました。

その結果、樹脂粘土と絵の具で本物そっくりに作れるというアイスクリームの作り方の情報を得て、手作りのアイスクリームやさんをプレゼントすることにしたのでした。

肝心の娘の反応は……

この樹脂粘土のアイスクリームというのが、とにかくリアルなのです。

でも、見た目に反して作るのは簡単で、作りたいアイスクリームのフレーバーに合わせて絵の具で色付けして型をとって、表面を歯ブラシや爪楊枝でそれっぽく仕上げたら、乾燥させて完成です。

 

アイスクリーム屋さんのカウンターは、娘の服の収納に使っていたカラーボックスを横向けに置いて、ペンキで白く塗った百均の板を貼り付け、よりお店っぽくガーランドをつけてみたり、メニュー表を作ったり。

 

お誕生日の3日前くらいにこのアイデアを思いつき、大慌てで準備したのですが、イメージが形になっていくのはとても楽しくって、これまた自己満だなぁなんて思いつつも、寝る間も惜しんで仕上げにかかったのでした。

 

さて、肝心の娘の反応はというと……とっても喜んでくれました!(ホッ)

さっそくアイスクリーム屋さんになりきって祖父母にふるまい、わが家にお客さんが来るたびに「どれがいいですか〜!」と押し売り(!?)しています。

 

きっとこの先もまた、娘の欲しいものと私のあげたいものが相容れないことは多々あるでしょうが、その都度、娘の思いは尊重しつつ、手作りのぬくもりや長く寄り添ってくれるモノとの出会いを贈り続けることもまた諦めないでおこう、なんて思ったお誕生日なのでした。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

このエントリーをはてなブックマークに追加
Instagram
持続可能なチョコレートの実現を支える「メイジ・カカオ・サポート」の歴史
sponsored 【 2025/3/19 】 Food
私たちの生活にも身近で愛好家もたくさんいる甘くて美味しいチョコレート。バレンタインシーズンには何万円も注ぎ込んで自分のためのご褒美チョコを大人買いする、なんてこともここ数年では珍しくない話です。しかし、私たちが日々享受しているそんな甘いチョコレートの裏では、その原材料となるカカオの生産地で今なお、貧困、児童労働、森林伐...
【ethica Traveler】 連載企画Vol.5 宇賀なつみ (第4章)サンフランシスコ近代美術館
独自記事 【 2024/3/20 】 Work & Study
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。 本特集では、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブ...
【ethica Traveler】  静岡県 袋井市の旅 おいしいもの発見!
独自記事 【 2025/3/20 】 Work & Study
日本列島のほぼ真ん中で、駿河湾を囲むように位置する静岡県。その中でも、太平洋に面する西の沿岸部に近いところに袋井(ふくろい)市があります。東西の交流地点として、古くから人や物や情報の往来を支えてきた袋井市は、高級メロンやリゾート、由緒正しき寺院など、未知の魅力がたくさんあるユニークな場所です。今回は、そんな袋井市の中で...
冨永愛 ジョイセフと歩むアフリカ支援 〜ethica Woman Project〜
独自記事 【 2024/6/12 】 Love&Human
ethicaでは女性のエンパワーメントを目的とした「ethica Woman Project」を発足。 いまや「ラストフロンティア」と呼ばれ、世界中から熱い眼差しが向けられると共に経済成長を続けている「アフリカ」を第1期のテーマにおき、読者にアフリカの理解を深めると同時に、力強く生きるアフリカの女性から気づきや力を得る...

次の記事

読者対話型連載「あなたにとってウェルビーイングとは何か」 第10章:雨ニモマケズ(第5節)
TBS秋沢淳子さん鼎談(第5話)仕事とプライベートの両立

前の記事

スマホのホーム画面に追加すれば
いつでもethicaに簡単アクセスできます