GX(グリーントランスフォーメーション)ヘの挑戦 「GXリーグ」キックオフイベント レポート
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GX(グリーントランスフォーメーション)ヘの挑戦 「GXリーグ」キックオフイベント レポート

ユーグレナ 代表取締役社長 出雲 充

2050年カーボンニュートラル実現に向けて、積極的な行動を起こすことが求められています。なかでも特に重要なのは、産・官・学の協働。経済産業省産業科学環境局は2022年、「GX(グリーントランスフォーメーション)」を推進する、「GXリーグ」を立ち上げました。2023年の本格稼働を目指す「GXリーグ」は、産・官・学が一丸となって持続可能な成長実現を目指す、包括的な場です。今回は、6月10日にオンラインで行われた、「GXリーグキックオフイベント」をレポートします。(記者:エシカちゃん)

GX(グリーントランスフォーメーション)とは

GX(グリーントランスフォーメーション)は、脱炭素社会実現に向けた社会・経済的なシステム全体の変革を指します。日本は、2030年までに温室効果ガスの排出量を46%削減(2013年度比)すること、また、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを目標として掲げています。GXは気候変動対策を成長の機会と捉えることで、CO2排出削減と産業競争力の上昇を同時に実現し、持続可能な未来のための投資という側面があります。

GXリーグとは

GXに向けた取り組みの目玉として今回キックオフしたのが、GXリーグです。萩生田経済産業大臣は「GXリーグは産・官・学が協働し、脱炭素社会に向けた未来像を作り、あるべきルールを整備し、そしてそれを実践していく場である」と語ります。始まったばかりのプロジェクトではありますが、既に440社の主要な企業が参加を表明しており、そうした企業のCO2排出量はなんと、国内総量の4割以上。多くの企業を巻き込んだ先進的な取り組みであることが伺えます。

経済産業大臣 萩生田 光一

日本経済団体連合会 会長 十倉 雅和

全国銀行協会 会長 髙島 誠

そもそもGXリーグ設立に際して重要視されたのが、カーボンニュートラル分野における日本企業の競争力強化、ならびに生活者の幸福の向上でした。脱炭素社会の実現は世界中の国や地域が抱える課題ですが、それは同時に、新たな国際競争の場でもあります。GXリーグは、カーボンニュートラルへいち早く移行するための挑戦を促す場として、GXという新たな市場創造、および生活者の意識変容を目指しています。地球環境への貢献のみならず、国内企業の成長、そして生活者の幸福、この三つを同時に実現しようというのが、GXリーグの基本構想です。

GXリーグの意義と「3つの場」

そんなGXリーグの意義として挙げられたのが、次の2つです。

1つは、参加企業が自ら「1.5度目標」の実現に向けた具体的指針を設定し、それへの取り組みを公表するという点です。「1.5度目標」は、パリ協定にて「世界の平均気温上昇を産業革命前と比較して1.5度に抑える努力目標」のことですが、GXリーグ参加企業はその達成に向けた企業目標を自ら設定し、取り組みます。さらに、それを世間に向けて公表することで、企業の透明性を確保し、世界中に向けて日本のリーダーシップを示すことにつながるといいます。

もう1つが、民間が中心となったカーボンプライシングの議論が進むという点です。カーボンニュートラルは必ずしも炭素の発生をゼロにすることではありません。それは人為的な発生と吸収をプラスマイナスゼロにすることであり、その際に必要なのがカーボンプライシングと言われるものです。GXリーグは、CO2排出に課税をする「炭素税」や、CO2の削減価値を取引する「クレジット取引」についての公正な議論の場となることが期待されています。

それらに向けて、GXリーグが提供するのが、次の3つの場です。

1つは、脱炭素社会の未来像や経済・社会システムの移行について、産・官・学・民で議論する場です。脱炭素社会へのトランスフォーメーションは、あらゆる主体に変革を目指すものと言われています。カーボンニュートラルを目指す意義や、私たちが目指すべき社会のあり方について、多様なアクターが議論を深める場として、GXリーグの果たす役割は大きいでしょう。

2つ目は、市場ルール形成の場です。カーボンニュートラル時代における、新たなビジネスモデル、および新たな市場の創造、そのルールメイキングを行う先進的な場所として、GXリーグを位置付けています。

3つ目が、企業が自主的な排出量取引を行う場です。企業が自らの達成目標に向けて、自主的に排出量の取引を行うことで、国内における排出量取引の知見とノウハウを蓄積することが期待されています。

GXリーグの多様なアクター

既に440社が参加表明しているGXリーグ。この新たなプロジェクトに積極的に関わっていこうとするアクターは実に多様です。例えば、野村総合研究所や博報堂がGXリーグ事務局に参加しています。事務局側と440社の企業間における対話、ルールメイキング、リーグそのもののブランディングなど、民間企業との連携の中でGXリーグ運営が行われる予定だといいます。

また、金融業界からも計37社が参加。社会構造変革を金融面からアプローチすることが可能になりました。金融機関が参加することの大きなメリットは、顧客支援において、脱炭素へのトランジションファイナンスや、サプライチェーンを含めた脱炭素化を行う企業への支援などができる点にあります。企業が目標設定とその移行を公表するというGXリーグの仕組みが、金融サービスにとっても有利になっており、まさにGXリーグを通して新たな価値が創造されていると言えるでしょう。

さらに、GXリーグに関わるのは企業だけではありません。例えば、環境省はこれまで地域の脱炭素化を進めてきましたが、そうした知見がGXリーグに還元されることもあるでしょう。地域での成功例を出発に脱炭素化を世界規模で実現する、いわゆる「脱炭素ドミノ」によって、脱炭素に関連する設備や製品の需要増加、ならびに脱炭素投資の拡大が期待される今、企業が政府と連携できるGXリーグの意義は大変大きいと言えます。

GXリーグの強み

GXリーグの強みは、産・官・学が脱炭素社会に向けた認識を共有できる点にあります。GXリーグは、国際的なビジネスを牽引するためのリーダーシップの発揮、そのチャレンジを推奨する場でもあります。そのためには、長期的な見通し、世界観を持つことが重要とされます。GXに関わる多様なアクターが世界観を共有し、それを世界に向けて発信すること、それが可能となるのがGXリーグなのです。

世界に目を向けると、EUは2026年から炭素国境調整メカニズムを導入する予定です。これは輸出入量に基づいて炭素排出量を算出し、炭素価格を支払う制度です。また、EUの排出量取引所であるEU ETSは2030年をめどに、これまで割り当てられていた「無償枠」を廃止し、全てのクレジットを有償とすることで合意しています。すなわち、EUは2030年にかけて、炭素排出量の規制と、排出量取引を本格的に導入するということです。こうした制度は、これから世界的に広がることが予想され、日本においても制度設計が課題となっています。

GXリーグは、そうした長期的な見通しに向けて、サプライチェーンおよびライフサイクルでの排出量の把握、グリーン製品への積極的投資と市場の拡大などの経営戦略を確立していく場です。同時に、政府が先駆的な取り組みを行う企業と対話し、新たな政策立案を模索する機会にもなります。

記者:エシカちゃん

白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。

ーーBackstage from “ethica”ーー

豊かな地球環境を次世代に残すために、日本、そして世界規模の貢献を目指して、私たちの未来を創造する場であるGXリーグに今後も注目していこうと思います。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

エシカちゃん

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