(第49話)思い出の詰まったおうちから、引っ越しました【連載】かぞくの栞(しおり) 暮らしのなかで大切にしたい家族とwell-being
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(第49話)思い出の詰まったおうちから、引っ越しました【連載】かぞくの栞(しおり)

心身ともに健康で、社会的にも満たされた状態であることを意味する「well-being」。

一人ひとりがwell-beingであることが、社会や環境をより良くしていくことにつながるのだと思います。

では、「私にとって良い状態」ってどういうものなんだろう?

そのヒントは、意外と何気ない日常の中に散りばめられているのかもしれません。

新しく何かを始めるのも大切だけど、まずは身近な人や自分が「ごきげん」でいることから。

家族と過ごすなかで感じる、そんな一瞬一瞬を切り取って、綴っていけたらと思います。

森の中にある幼稚園

少しさかのぼりますが、この4月に引っ越しをしました。

 

どこにでも住めるなら、海の近くがいいな、と付き合っていたころから話していた私たち夫婦。

夫が在宅勤務になり家が手狭になってきたことをきっかけに、今より多少広いおうちで自然も豊かな、より理想的な環境へ移り住むことを検討し始めたのが1年ほど前のことでした。

 

ですが、関西から関東まで希望が叶うような引越し先を探す過程で、今の暮らしは理想的ではないけれど、馴染みの深い地域で、友人や家族、地域の人たちとのつながりに恵まれていることが、自分たちの日常の安心や心地良さにつながっていることを感じます。

 

そうして一旦は見送ることにした引っ越しでしたが、その後も自分たちの暮らしについて、話し合いを重ねてきました。

そのなかで、最初の目的であった仕事部屋を得ることと娘の幼稚園への転園は、これまでの関係性を引き続き大切にできる範囲でも可能ではないかという結論に至り、ようやく引っ越しを決めたのでした。

新たな住まいは、前に住んでいた場所から車で1時間もかからないくらいのところです。

生活圏内は大きくは変わりませんが、山がぐんと近くなり田畑が多い地域で、野菜の無人販売所を道沿いによく見かけたり、ふと見上げた空がとっても広かったりと、のどかなところです。

 

娘が通えたらいいなと思っていた園があること、以前から馴染みのある場所で知り合いも多く、無理なく暮らしをスタートできると感じたことが決め手となりました。

 

引越し先のおうちは前の家より一部屋広く、夫の仕事部屋兼大好きなアウトドア用品と本が並ぶ趣味部屋と、夫の好きが詰まった空間に整って嬉しそうな夫です。

 

娘には引っ越し、転園とたくさん負担をかけてしまったことは気がかりでしたが、「きょうな、〇〇ちゃんとおうちごっこしてん!」と毎日楽しそうに園に通う様子に、ホッと一安心。

森の中にある幼稚園で、季節の移り変わりや自然の恵みを間近で感じられ、園庭や森で子どもたちがのびのびと自由に遊ぶ姿に、送り迎えに行くたび癒やされている私です。

引っ越してから半年ほど経った今思うことは、紆余曲折ありながらも自分たちが何を大事にしたいかという気持ちとちゃんと向き合ったことで、そのときに感じたことを今も大切に持ち続けられているという実感があることです。

 

以前のおうちでの暮らしを一度は手放すことで、そこまで積み重ねてきたものものを失うかもしれないような不安もあったけれど、いざ一歩踏み出してみれば(とっても小さな一歩でしたが)、なんとかなるもんだ、とちょっぴり自信にもなりました。

 

時々前のおうちを懐かしく思い出しつつ、今回の引っ越しに至るまでの過程で気づいた自分たちの価値観、紆余曲折した経験は、また今後の人生のいろいろな選択においても大切な指標となるのだろうと感じているこのごろです。

今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。

【連載】かぞくの栞(しおり)

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

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私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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季子(キコ)

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