廃棄物処理事業を手掛けている中特グループは12月10日(土)に廃棄物を活用したアート作品を募集する「COIL Upcycle Art Contest 2022」の最終審査会を開催し、128名の公募から最優秀作品を含む計7点を入選作に選びました。ゴミを芸術作品に生まれ変わらせるのはある意味、究極のサステナビリティと言えますね。受賞作品の魅力やコンテストの意義に迫ります。(記者:エシカちゃん)
作品を通じて環境倫理への意識や廃棄されるモノへの再認識を促す
廃棄物の収集、運搬、処分やリサイクル事業を行う株式会社中特ホールディングスは廃棄物を使った現代アートを募集し、12月10日(土)に環境省の後援を受けて最終審査会を実施しました。「クリエイティビティによってサステナブルな世界観を創り、文化のスタンダードにする」をテーマにした今回は、全国から128名がエントリー。7作品を入選に選出し、うち3作品に賞を贈りました。
グランプリ作品は、押鐘(おしかね)まどかさんの「ことだまのうつわ-[毳器]」。
テキスタイルデザイナーとして活動する押鐘さんが、生地を生産する過程で排出される繊維を活用して制作。「生地耳(きじみみ)」と名付けた繊維で編み出した、口がある不思議な形の作品群を通じて、見る人に環境倫理への問いを投げ掛けています。展示企画ではサンプルに触れることができるので、独自の触感や環境へのメッセージを感じ取ってみましょう。
準グランプリに輝いたのは、森有未(あゆみ)さんの「おこもり」です。
アーティストの森さんは、自身が利用している宅配サービスで発生した透明なビニール袋を使って自然光を活かしたインスタレーション作品を作成。実際に中に入って手に触れることで、自分自身を見つめるための新たな体験を提供します。
審査員特別賞受賞作品は、鈴木麻希子さんの「在り方」です。
服飾系大学院に在籍している鈴木さんは、いずれは捨てられる食べ物の皮を縫うことで、時間の経過や儚さを表現。”元通りにはならない繕い“を地球の環境や命とリンクさせ、消費・廃棄されてしまうモノへの再認識を促しています。
その他に入選した4作品と作者は以下の通りです。
・『廃棄本は、ごみ?作品?資源?MOMINICATION 揉みにケーション=MOMU 揉む × COMMUNICATION』/しょうじまさる
・『Circulation』/柏﨑桜
・『音物達(おともだち)』/直井大紀
・『Material Anatomy』/シモ×dom(しもどむ)
中特グループの社屋や全国での展示企画を通じて環境へのメッセージを発信
かねてから廃棄物を用いてアーティスト活動を行ってきた人たちを評価した前回に対して、今まで廃棄物を意識したことのなかったクリエイターの作品を中心に選出した今回。ディレクターの橋本季和子さんによる総合プロデュースのもと、現代美術家の中野良寿さん、アーティストの渡邉朋也さんとしばたみなみさん、周南公立大学の髙田隆学長といった審査員が、エコやエシカルに関する既存のイメージから脱却した、ユニークな7作品に光を当てました。
今後1年間、これらの作品を山口県周南市にある中特グループの社屋、「COIL」で公開します。続いて、全国各地での展示キャラバンも予定しており、多くの人に廃棄物や環境問題へのメッセージを発信していきます。
展示企画はもちろん、来年以降の公募を通じてさまざまなクリエイターを発掘しながら、環境問題とリンクさせた現代アートの可能性を追求していく中特グループ。今後の活動にも期待大です。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp