新・文化庁に期待すること、自らの抱負
最後に、文化庁の京都への移転に際して文化庁に期待することと、京都の文化醸成にどのように貢献していきたいかについて、京都経済同友会の代表幹事としての立場から村田氏の考えを伺った。
――新・文化庁に対して、どんなことを期待していますか。
文化は、日々の暮らしのなかに息づくものです。それが意識されることで、個人と文化の結び付きが強まります。文化庁の移転が、こうした意識の醸成のきっかけになることを期待しています。京都から世界に向けて日本の文化が発信されることに対して、京都で暮らす私たちは誇りと責任を感じるべきだと思っています。文化庁は京都のために移転してくるわけではありません。しかし、文化庁の移転が私たちの意識にプラスに作用することを願っています。
――京都経済同友会の所属企業と文化との結びつきについて、どのように感じていますか。
文化との結び付きは、企業だけでなく、経営者を含む個人にとっても重要な意味があります。現在、メンバーが個人として参加する経済同友会では「文化と経営の研究委員会」を設けています。各会員が文化を意識することで、経営の糧(かて)となるものを得る可能性について考えています。
企業のミッションやパーパスの最も基本にある人間の幸福観は、人が幸せに生きる上での文化の存在と密接に関わっています。日常に埋没するなかで、その関わりを自覚する機会は決して多くはありません。しかし、一人ひとりの生活や仕事のなかでの気付きや意識を少しでも高めることで、企業経営の質は改善されると考えています。