新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学大学院で社会学を研究しながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。
この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。
新企画「あなたにとってウェルビーイングとは何か」を担当します永島郁哉と申します。早稲田大学大学院で社会学を研究しながら、休日には古着屋に行ったり小説を書いたりします。
この連載は、ストレス社会に生きる私たちが、ふと立ち止まって「豊かさ」について考えるきっかけとなる、ささいな休憩所のようなものです。皆さんと一緒に、当たり前だと思っていた価値観を一つ一つほどいていく作業が出来たらと思います。
あけましておめでとうございます!
気づけば、この連載も一年半が経とうとしているところです。読者の方々に支えられてここまで来ることができました。そうです、そこのあなたです。
さて、みなさんは既に新年の目標は立てたでしょうか。毎年、2月になると大体忘れてしまうやつです。年末まで覚えている人なんて見たことありません。
もし仮に覚えていても、目標を実際に達成できる人はかなり少ないでしょう。新年の目標を立てた人のうち、12%しかそれを達成できなかったというアメリカの研究もあるようです(参考:http://www.richardwiseman.com/quirkology/new/USA/Experiment_resolution.shtml)。
帰省中のパートナーがオーストラリアから送ってきた写真
では、どうして私たちは、覚えてもいない、ほとんど達成できない目標をわざわざ立てるのでしょうか。最初から目標なんて立てなければ、忘れようもないし、達成できずに自分を責めることもありません。それでも私たちは目標を立てるし、(程度の差はあれ)それを達成しようと努力します。果たしてこれは無駄でしょうか。
むしろ私は、一度目的地を決めておくことの方が重要なのではないかと思い始めています。達成できるかどうかはひとまず置いておいて、とりあえずそれに向けて何か行動してみること。一歩足を前に出してみて、上手くいかないと思えば、目標を修正すれば良いのです。
花の写真が多い
大学で研究活動をするなかで避けられないのは、論文を書くということ。研究論文であれば、2万字程度、学術論文になるとその5倍以上です。文章を書くのは、パズルに似ています。数十ピースしかない小さいパズルなら、直感でどうにか完成させられますが、何千ピースのパズルとなると話は別です。角や枠の部分を最初に集めたり、色ごとに仕分けしたりと、どこに何が位置付くのかを注意深く観察してからでないと実際の作業に移れません。論文でも、どの章に何を書くか、もっと言えば、どの段落にどの文章を書くか、どの文章にどの言葉を使うか、というところまで気を遣います。
そうすると、手順や下準備が膨大になり、いざ見通しが立ったところで時間切れ、ということになりかねません。指導を受けている教授からはよく「とりあえず形にしろ」とよく言われます。何もないところから生み出すのは大変だけど、かたちあるものを手直しするのは比較的簡単だ、というわけです。
愛犬、フランキー
私は、新年の目標もこれに近いのではないか、と考えています。つまり、とりあえず、いびつでもいいからパズルを当てはめていってみて、できあがったものからその先を考えるように、新年の目標をひとまず固めてから、とりあえず動き出してみるのが良いということです。途中で目標が変わってもいいわけです。なぜなら、新年に目標を立てることの本質は、自分自身が成長したり、身の回りを幸せにしたり、この世界を少しだけイイものにすることだからです。
たとえ当初の目標が達成できなくても、自分は確かに「イイもの」のためにアクションを起こした。その事実がとても大事なのではないでしょうか。
だから、新年の目標を忘れたとか、達成できなかった、なんてのは実はどうでも良いことで、新しい年の初めに、前よりも少しだけイイ世界を思い描いたこと自体が、自分自身や周りの人、この世界にインパクトを与えているわけです。
まだ目標を定めていない人、この記事を読み終わったら、是非何か考えてみてください。「何かを考える」ということ自体が、あなたが、そして私たちがウェルビーイングな世界に歩みを進めていることを意味しているのですから。
将来はああいう家に住みたい!と言って送ってきた写真。派手すぎない?
今回の連載は如何でしたでしょうか。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。
永島郁哉
1998年生まれ。早稲田大学で社会学を学ぶ傍ら、国際学生交流活動に携わる。2019年に公益財団法人イオン環境財団主催「アジア学生交流環境フォーラム ASEP2019」に参加し、アジア10カ国の学生と環境問題に取り組んだ他、一般社団法人アジア教育交流研究機構(AAEE)では学生スーパーバイザーを務め、ベトナムやネパールでの国際交流プログラム企画・運営を行っている。2019年9月より6か月間ドイツ・ベルリン大学に留学。
——Backstage from “ethica”——
今回の連載は、読者対話型の連載企画となります。
連載の読者と、執筆者の永島さんがオンラインオフ会(ZOOM)で対話をし、次の連載の話題や企画につなげ、さらにその連載を読んだ方が、オンラインオフ会に参加する。という形で、読者との交流の場に育てていければと思います。
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