「コットンの日」であり、「世界フェアトレード・デー」でもある5月10日、1日だけの学校「エシカルファッションカレッジ」が世田谷区のIID世田谷ものづくり学校(旧池尻中学校跡地)で開催されました。
「ファッションに関わるみんなが幸せになるちょっといい未来」を提案
「エシカルファッションカレッジ」はデニムブランド「Lee」を手がけるリー・ジャパンと世界の子供たちを児童労働から守る国際協力NGO、特定非営利活動法人ACEが共催したイベントで、講義や講演、実習(ワークショップ)、ファッションショー、映画などのさまざまな授業を通じて「ファッションに関わるみんなが幸せになるちょっといい未来」を提案、作る人も着る人も誰もがハッピーになれるファッションを考えようというものです。
イベントは午前10時にスタート、ファッションジャーナリスト・生駒芳子さん、ピープル・ツリー代表のサフィア・ミニーさんなどの多彩なゲストによる授業が2004年3月に廃校となった中学校の教室を同時に利用して夕方6時まで行われましたが、開場前から列を作った多くの人たちでどの授業も定員をオーバーする盛況ぶり。
また、当日は多くのマスコミも取材に訪れ、エシカルファッションに対する人々の関心の高さがうかがえました。
「倫理的に調達したコーヒーを提供する」スターバックスの考え方
趣旨に賛同した多くの企業・団体が顔を揃えた中、イベントにはスターバックス コーヒー ジャパンも参加しました。
同社の原点は、厳選されたアラビカ種のコーヒーのみを使用したこだわりのコーヒーです。毎日おいしいコーヒーを楽しみに来るお客様との信頼は、同社のコーヒーに対する信念と情熱が支えています。その情熱はコーヒー生産地からはじまります。生産者をサポートし、利益を生産地に還元し、生産地と共に成長することで、多くのお客様においしいコーヒーを安定的に提供することを目指しています。
コーヒースペシャリストが語る、アフリカでの取り組み
イベントでスターバックスは「Coffee Passion~人と人がつなぐスターバックスのコーヒーへの情熱~」と題した講義を行い、コーヒーの木から1杯のカップに注がれるまでのコーヒージャーニーを、生産地での取り組みやそこに関わる人々の紹介を交えながら、同社のコーヒーへの思いや情熱を参加者に伝えました。
講義を担当した田原象二郎さんは2000年に入社、ストアマネージャーを経て2006年からは同社で3人しかいないコーヒースペシャリストとして、従業員のコーヒーに関する知識向上やお客様へ分かりやすくコーヒーの魅力を紹介するプログラム開発など、幅広く活躍されています。
講義では昨年6月、田原さんがコーヒーの世界3大生産地の一つであるアフリカのルワンダとブルンジを訪れ、同社が生産者の技術支援のために立ち上げたファーマーサポートセンターのスタッフがどのように生産者をサポートし、おいしいコーヒーを持続的に生産することに取り組んでいるかを実感してきた時の様子がレポートされました。
「ファーマーサポートセンターの支援により1本のコーヒーの木の収穫量が上がり、それによって生産者の人たちの収入が増え、スターバックスも高品質のコーヒーを継続的に買うことができるようになる。私たちが目指しているのはそうした仕組みですが、ルワンダでもブルンジでも、それが現実のものとなっていることを目の当たりにしてとても感動しました」(田原さん)
スターバックスでは2013年までに95%のコーヒー豆を同社の倫理的な調達のガイドライン「C.A.F.E.(Coffee And Farmer Equity)プラクティス」やフェアトレード認証などに基づいて取引されたものとしており、2015年には100%を目指しているそうです。
「常に最高のコーヒーをお楽しみいただくために私たちが生産者の方たちと取り組んでいることについて店頭でお話する機会はなかなか取れないのが実情です。ですから、こういう機会はとても貴重だと思います。これからも1人でも多くの方に私たちの取り組みを知っていただきたいですね」(田原さん)
また、実習では「エシカルなコーヒーをおいしく楽しむミニセミナー」も開催。同社が独自に制定する社内試験に合格したバリスタのみに与えられる「ブラックエプロン」を着用したスタッフが、コーヒーの味わい方やおいしいコーヒーのいれ方を紹介。同社で販売しているフェアトレード認証コーヒーの「フェアトレード イタリアン ロースト」を参加者と一緒に抽出し、生産地から私たちのところに届けられるコーヒーのストーリーを楽しみながら学びました。
▼エシカルなコーヒーを楽しむミニセミナーの様子
今回の「エシカルファッションカレッジ」では、スターバックス以外にも多くの企業や団体が参加し、さまざまな講義や実習、視聴覚イベントが行われました。後編では、多彩な講義・実習についてご紹介します。レポート後編は、こちらhttp://www.ethica.jp/7612/
記者: 清水 一利(しみずかずとし) 55年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、79年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。86年、同社退社後、87年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。12年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、13年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp