From the Worldシリーズは、エシカ海外特派員レポートによる海外の『私によくて、世界にイイ。』をご紹介するコーナーです。今回は、ethica from Cannes 贅沢もエシカルに!と題して、カンヌ映画祭の纏わるお話をご紹介していきます。
栄光ある映画界でもエシカルな選択が…
今年の春は『Let it go』の主題歌でメディアを席巻した『アナ雪』こと『アナと雪の女王(原題:Frozen)』が大変な人気でしたが、みなさんはもうご覧になりましたでしょうか? 北欧好きの筆者はなんと気がつけば3度も映画館へ足を運んでおりましたが、この映画はアカデミー賞、ゴールデングローブ賞など多数の栄光に輝き早くもアニメ史上に名を残したと言えるのではないでしょうか。
さて映画ときて賞といえば、つい先週、世界でもっとも権威ある映画祭と言われている、フランスはカンヌ国際映画祭が開催されていました。名だたる名俳優・名監督だけでなく、世界中の映画監督やバイヤーが、有名無名、老いも若いも押し掛ける歴史ある映画大祭ですが、今年はこんなところにもエシカルなアイテムが光っています。
パルムドール・トロフィーはエシカルな『フェアマインド・ゴールド』製
カンヌ映画祭のシンボルであり最高賞である『パルムドール』のトロフィーは、クリスタルと黄金のシュロ(=ナツメヤシ:西洋では勝利・栄誉の象徴)をモチーフにしたデザインが有名ですが、今年のトロフィー、黄金のシュロの部分は、『フェアマインド・ゴールド(Fairminded Gold)』によって作られているのです。
フェアマインド・ゴールドとは、正当な採掘人と小規模鉱山労働者によって採掘され、フェアマインド認証を受けたエシカルな(社会や環境に配慮した)金のこと。金は、その美しさゆえに太古の時代から私たちを魅了してきましたが、多くの金の採掘現場では、児童労働や長時間・低賃金労働、また、金の精製に使用する有毒な水銀が深刻な健康被害や環境汚染を引き起こしているなど、多くの問題も指摘されてきました。
こうした状況を改善するため、公正な採掘のための国際非営利団体ARM(Alliance Responsible Mining=責任ある鉱業連盟)がフェアマインド・ゴールドの認定を行い、世界に良い金の採掘を広めているのです。
サステナブル・ラグジュアリーへの道標
1998年からカンヌ映画祭のためにこのトロフィーを制作しているスイスのラグジュアリーブランド、ショパールは、2013年から「The Journey(サステナブル・ラグジュアリーへの道標)」というプログラムを立ち上げ、社会的・環境的・倫理的に責任ある供給業者から材料を仕入れることはもちろん、エコでサスティナブルな業界の未来のために様々な取り組みを実践してきたといいます。今回のフェアマインド・ゴールドを用いたトロフィー制作も、このThe Journeyプログラムのひとつなのだそう。
ハリウッドセレブにも愛用者の多いショパールだからこそ、また世界の関心を集めるカンヌ映画祭だからこそ、この大舞台で公然とエシカルな試みを発信するということは、南米の労働者たちだけではなく、エシカル・マインドを推奨する私たちにとっても、大きな励みになるというものですね。
ショパール公式サイト
Fairmined (フェアマインド)ゴールド:サステナブル・ラグジュアリーへの道標
http://www.chopard.jp/fairmined-goldb
贅沢もエシカルに!
時計や指輪などに使われている金や銀、ダイヤモンド(滅多に買えませんが)…つい見た目のフォルムや美しさ(そして値段!)にとらわれてしまいがちですが、材料そのものはどこから来ているのか、はっきり知っていることってあまりないのではないでしょうか。責任ある消費者のひとりとして、人権と環境を尊重して採掘された、追跡可能な材料を選択していきたいものです。
カンヌ映画祭の試みに学びつつ、休日はゆっくり映画鑑賞でもしながら、心豊かな時間を過ごしてみてはいかがでしょうか。
ethica編集部 :ミミ
東京生まれ東京育ちのアラサーです。多摩美術大学卒業後、ディレクター業・イラストレーター業に従事。2016年よりethica編集部に参加。アート、旅、
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp