ファッション業界は環境負荷の高い業界として知られていますが、それは「製造」だけではありません。ポリエステルやナイロンなどのプラスチックを原料とする素材は、リサイクルが難しく、その多くが埋め立てられています。土に還らないため、何百年と地面に残ることに。今回、サステナブルブランド「Syncs.Earth(シンクス アース)」が企画したのが、土に還る服を使った実験アート展。アーティストMIKIKO KAMADAとのコラボで実現しました。(記者:エシカちゃん)
土に還る洋服「Syncs.Earth(シンクス アース)」
「Syncs.Earth(シンクス アース)」は、100%土に還る製品をつくる洋服ブランド。「循環購入」を導入し、商品の返却を通して、ブランドが最後まで製品に責任を持つシステムです。リペアしてリユース品として再販したり、再販できないものは自社が運営する農園で土に還し、作物栽培に利用するというもの。
同時に製造過程での廃棄量ゼロを掲げ、裁断で出る端切れなどを全て回収。リサイクルに回したり、土に埋めて土壌環境に貢献したりしています。
渋谷区が推進する官民連携のオープンイノベーションプロジェクト
「Syncs.Earth(シンクス アース)」は、4月22日のアースデイから7月20日まで3ヶ月間に渡って渋谷・宮下公園屋上「RAYARD MIYASHITA PARK」にて「コンポスト実験アート」を実施中。
渋谷区が推進する官民連携のオープンイノベーションプロジェクト「Innovation for NewNormal from Shibuya」の採択プロジェクトとして、「Syncs.Earth(シンクス アース)」と、アーティスト/プランツディレクターである MIKIKO KAMADA氏の共同で、フラワーコンポストの生分解実験が進行しています。
着古した「Syncs.Earth(シンクス アース)」の服や端切れが、廃棄される花とともに、どのように分解され土に還っていくかを見ることができる新しい実験アートです。
アーティストMIKIKO KAMADA氏が語る展覧会の特徴
MIKIKO KAMADA氏は、生命科学のアカデミックなバックグランドを生かし、空間の緑化事業を手がけるアーティスト/プランツディレクター。現在、千葉大学大学院園芸学研究科博士課程にて「植物とヒトの関係性」の再構築を目指し研究しながら、植物や微生物の存在をテーマにしたインスタレーション、作品を制作しています。
MIKIKO KAMADA氏にとって、フラワーコンポストアートは微生物との共作であり、作品そのものが変化し続ける生命体である、といいます。花をゴミ箱に入れるのではなく、分解サイクルに入れることで、自分自身もまた花と同様に循環のサイクルに参加しているような感覚が芽生えるのではないか、と考えているそう。
もともと、MIKIKO KAMADA氏と「Syncs.Earth(シンクス アース)」の出会いは、共通の友人を通して。微生物を用いた作品を作っていたMIKIKO KAMADA氏にとって、土に還るというコンセプトのブランドに親近感を感じたといいます。
そこで実現した今回の実験アートのテーマは、「人工物の埋葬」。生物の身体や生物が生成するものは土に還るというのが自然の摂理。別の生物に利用され循環サイクルのなかに組み込まれていくことで、地球は稼働しています。そこに目を付け、人工物であるモノにも「埋葬」や「葬儀」という儀式が可能なのではないか、と考えたMIKIKO KAMADA氏は、葬儀のようなイメージで、着古した服と廃棄予定の花を同時に土に還す今回の展示を思いついたそうです。
6月11日(日)には、蓋を開けて中の分解状況を確認するイベントが開催されました。分解が進んだフラワーに加え、さらに分解を促進するため新たなフラワーの追加を一般の参加者とともに行い、「祭壇」を鮮やかに飾りました。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp