ハーモニカといえば、誰もが知っているポピュラーな楽器です。子供の頃、吹いたことがある人も多いでしょう。しかし、クロマチックハーモニカというと、知っている人はほとんどいないかもしれません。
南里沙さんは今年27歳の、日本では数少ないプロのクロマチックハーモニカ奏者です。その南さんにその魅力やクロマチックハーモニカにかける想いをお聞きしました。
ハーモニカといえば、誰もが知っているポピュラーな楽器です。子供の頃、吹いたことがある人も多いでしょう。しかし、クロマチックハーモニカというと、知っている人はほとんどいないかもしれません。
南里沙さんは今年27歳の、日本では数少ないプロのクロマチックハーモニカ奏者です。その南さんにその魅力やクロマチックハーモニカにかける想いをお聞きしました。
クロマッチハーモニカはたった16個の穴とレバーの操作で4オクターブ+2音を出すことのできる楽器です。クロマチックとは「半音階」の意味で、ピアノの白鍵黒鍵の音が全て鳴らせるのが大きな特徴になっています。
もともと3歳からピアノを始め、大学時代はソリストになることを夢見てオーボエを専攻していた南さんがクロマチックハーモニカと出会ったのは今から6年前のことでした。
「私がやっていたオーボエはリード(音を鳴らす竹の振動体)を自分で削れないと一人前とは言えないのです。ある時、インターネットでオーボエのリードについて調べていたら、クロマチックハーモニカも同じリードを使う楽器だということを知ったのです。それで、とってもシンプルな楽器でありながらオーボエのようにも聞こえるし、サックスにも弦楽器にも聞こえるその奥深い音色を聞いて、魅了されてしまいました」
世界的クロマチックハーモニカ奏者の南里沙さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)
南さんが大学時代にオーボエを専攻していた頃、弾く曲はほとんどがクラシックでした。しかし、クロマチックハーモニカと出会ってからというもの、クラシックはもちろんのこと、ジャズやポップス、ロックから演歌まで、南さんが演奏する曲はジャンルが広がっていきました。
「クロマチックハーモニカは4オクターブ+2音の音域があるので、どんな曲でも吹けますし、どんな楽器ともアンサンブルができます。それがクロマチックハーモニカの大きな魅力ですね」
さらに、小さなバッグに入ってしまうほど小さく、どこにでも簡単に持ち運びできるのもクロマチックハーモニカならではの魅力です。
「大きなステージだけではなく、私一人立てる場所さえあればどこでも演奏できます。そんなところも、ほかの楽器にはないクロマチックハーモニカならではのいいところだと思いますね」
世界的クロマチックハーモニカ奏者の南里沙さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)
クロマチックハーモニカは穴に息を吹き込んだり、吸ったりして音を出します。そして、横にあるレバーを押すことで半音、ピアノでいう黒鍵の音を出すことができます。
「クロマチックハーモニカの基本は、一つの音を確実にきれいに鳴らすということです。それには一つの穴に口を寄せて吹くのですが、その基本がいちばん難しい。どうしても音が濁ってしまうのです」
基本ができるようになれば、舌の使い方によって1オクターブの和音を出したり、息遣いで音の響きや音色の幅を変えることもできようになります。シンプルな楽器でありながら、さまざまな奏法を駆使してあらゆるジャンルの曲を自由自在に演奏ができるというわけです。
南里沙さん Photo=Kentaro Ohtani (TRANSMEDIA)
最近では上海やウクライナ、ブルガリアなど海外で演奏することも多いという南さん、言葉は通じなくてもクロマチックハーモニカを吹くだけで国境を超えて通じ合うことができ、音楽には言葉の壁がないということが実感できるといいます。
「クロマチックハーモニカを知らない方も多いので、海外に行くと空港の手荷物検査で引っ掛かることもしばしばあるんです、これは何だって聞かれて。そんな時には、その国の曲をその場で演奏しちゃうんですよ。そうすると、ニコニコしながらOKを出してくれますよ」
かつて小学校の授業で必ず習ったハーモニカも、今は取り上げられることもなくなり、特に若い世代では、ハーモニカに触れる機会も少なくなっています。
「若い人たちの前で演奏すると、聞いた人たちは『初めてなのに、なぜか懐かしい、どこかで聞いたような音に感じる』とか『心が洗われるような気がする』といってくださるんです。そういう声を聞くとすごく嬉しいですね。クロマチックハーモニカだけではなく、そもそもハーモニカのことを知らない若い人たちにつなげるバトンを私が持っているのかなと思うと、責任を感じる反面、やりがいもありますね」
南さんは、心の扉を開くもの、それが音楽であり、そして、悲しい時や辛い時、もちろん、楽しい時も、クロマチックハーモニカの音色が寄り添ってくれるのだといいます。
「たくさんの人の前で演奏する時も、たった1人の前で演奏する時も、その人を笑顔にできる演奏ができればいいですね。それができるクロマチックハーモニカは、私にとっていいものですし、世界にとってもいいものだと信じています」
ーーETHICA TVーー
エシカ独自インタビュー映像をお楽しみ下さい。エンディングに南さんからエシカ読者への素敵なメッセージを頂きました。
*ETHICA TVとは、「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトとした映像番組です。エシカ編集部では、「私によくて、世界にイイ。」ストーリーを語って頂けるアーティストさんやストーリーをお持ちの企業様を広く募集しております。
6月18日、2タイトルのCDが同時発売になりました。
1枚は世界中で愛され続けるシネマ・ミュージック全15曲を集めた「RISA Plays CINEMA」、そしてもう1枚は数々の歌謡ヒット曲全15曲を集めた「RISA Plays J-songs」。
「時にはささやくように、そして時にはむせび泣くように、情感たっぷりに奏でました。この2枚を聞いていただければ、クロマチックハーモニカの魅力が分かっていただけるのではないかと思っています」
ーーBackstage from “ethica”ーー
取材の際、目の前で吹いてくださった「曼珠沙華」は「RISA Plays J-songs」に収録された山口百恵さんの代表曲。その情熱的で繊細な音色の素晴らしさはまさに感動的でした。
あなたもぜひクロマチックハーモニカの世界に身を委ねてみては?
記者: 清水 一利(しみずかずとし) 55年千葉県市川市生まれ。明治大学文学部(史学地理学科日本史専攻)を卒業後、79年、株式会社電通PRセンター(現・株式会社電通パブリックリレーションズ)に入社。クライアント各社のパブリシティ業務、PRイベントの企画・運営などに携わる。86年、同社退社後、87年、編集プロダクション・フリークスを主宰。新聞、雑誌(週刊誌・月刊誌)およびPR誌・一般書籍の企画・取材・執筆活動に従事。12年「フラガール3.11~つながる絆」(講談社)、13年「SOS!500人を救え~3.11石巻市立病院の5日間」(三一書房)を刊行。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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