クリスマスの足音が聞こえてきたこの頃。寒空に映える少し不思議なイルミネーションが、秋葉原に灯りました。(記者:エシカちゃん)
11月15日から“winter illumination 2023”が開幕
11月に点灯式が行われた秋葉原のイルミネーションイベント”winter illumination 2023”。今年は、「IT により将来をリードする街」へ思いを馳せるイルミネーションが灯されました。
メインオブジェの制作を担ったのは、“デジタルネイチャー”を提唱するメディアアーティスト落合陽一さんです。
しばしば訪れているという秋葉原を舞台に、街の歴史を未来に繋げる光を作り出しています。
落合陽一
メディアアーティスト、1987 年生まれ。2010 年ごろより作家活動を始める。
境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学准教授、デジタルハリウッド大学特任教授。2025 年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業
プロデューサー。近年の展示として、2020 年「おさなごころを、きみに」東京都現代美術館、2021 年「北九州未来創造芸術祭ART for SDGs」北九州、同年「Ars Electronica 」オーストリア、2023 年「晴れときどきライカ」ライカギャラリー東京・京都、同年「ヌルの共鳴:計算機自然における空性の相互接続」清春芸術村 安藤忠雄/光の美術館光の美術館など多数。
また「落合陽一×日本フィルプロジェクト」の演出など、さまざまな分野とのコラボレーションも手かげる。
Reflector∞:Resonance of Electrical Echoes
今回お披露目されたメインオブジェ「Reflector∞:Resonance of Electrical Echoes」は、「秋葉原の未来への可能性」テーマに作られました。
LED とガラスという、新しいものと古くからあるものが共に用いられた作品を眺めていると、秋葉原という街が持つ現代的な日本文化の特異性(新しさ)と古代からの伝統的な慣習(古くからあるもの)とが互いを見つめ合い、まるで交信しているかのようで、不思議な気持ちになってきます。
コンセプト
”本作品「Reflector∞:Resonance of Electrical Echoes」は、東京・秋葉原という現代的な日本文化の特異性と古代からの伝統的な慣習との対話を試みる作品です。落合陽一は秋葉原に25年ほど通い続け、また近隣住民として暮らし始めて6年が経ちました。それ故に秋葉原の変遷を眺めながら、電子部品が新しい民藝を形作る様を夢想してきました。秋葉原という特異な空間は、デジタルと物理的な存在、有形と無形、サブカルチャーと主流文化が交錯する場です。落合陽一の質量のない自然と質量ある自然の調停という考え方もこの街をバックグラウンドに持つことによって生まれています。「Reflector∞」は、電子部品を媒体として、メディアアートが新たな民藝の形を持つことを示します。古代からの日本の鏡に対する感覚、その神秘性·象徴性は、物質とデジタルが交わる領域に境界として深い関連性をもち、作品中に取り入れられています。鏡は、観察者の視覚体験を拡張するためにインフィニティミラーを巧みに配置しています。その無限の反射が示すものは、空間的な拡大だけでなく、広がる可能性を示唆しています。
また、本作品は、人間と人工知能が交流し、創出した計算機自然を通じて、我々が都市体験を再評価するよう促します。本作品が描き出すエコーとレゾナンスは、地域固有の生態系が日本文化の根底にある「鏡」の意味と共鳴し、秋葉原という都市の見た夢のような風景を描き出すことでしょう。”
光を纏う街路樹
メインオブジェへと続く道に施されたイルミネーションも、また見物です。LED テープライトを用いた未来的なイルミネーション装飾が秋葉原の西側街路樹外側にある19本の木々を飾ります。
躍動感ある自在な光のラインは、コンサート等で振られるペンライトの残像のよう。
秋葉原という街だからこそ映える光の道です!
開催概要
開催期間:2023年11月15日(水)~2023年12月25日(月)
点灯時間:毎日17:00~23:00
※事前の予告なく、点灯時間を変更する場合があります。
場所:秋葉原 UDX 1F アキバ広場、西側街路樹(東京都千代田区外神田 4-14-1)
JR「秋葉原駅」、東京メトロ銀座線「末広町駅」より徒歩3分
料金:無料
主催:秋葉原 UDX
作家:落合陽一
プロデュース:株式会社 The Chain Museum
機材提供/技術協力:株式会社セイビ堂
公式サイト:https://udx.jp/
※秋葉原UDX winter illumination 2023 では、太陽光や風力などの自然エネルギーで発電されたグリーン電力を使用しています。
他のどんな街とも違う、全てを呑み込んでくれるような秋葉原。
そんな街に「IT未来都市」という新たな種が投げ込まれました。
近未来的なイルミネーションに照らされた街並みは、未来を先取りするかのようでもあり、また、何故だか過去への郷愁をも誘います。
新しさと土着性とを一緒くたにした摩訶不思議な光を浴びながら、IT により将来をリードする街へと変化していく秋葉原の姿を、想像してみたくなりました。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp