目の前に広がるのは惑うことなき湖畔。名前もわからぬ翼の大きな鳥が空を優雅に飛ぶ影が見え、湖にはカヌーがのんびり浮かんでいる。一瞬どこか遠くの避暑地か外国にでもトリップしたのかと思ってしまうそこは、都内からわずか数十分、電車に揺られれば辿り着く、埼玉県飯能市のメッツァビレッジである。
外国にでもトリップしたのか
一瞬どこか遠くの避暑地か外国にでもトリップしたのかと思ってしまうそこは、都内からわずか数十分、電車に揺られれば辿り着く、埼玉県飯能市のメッツァビレッジである。小高い丘の上に位置するそこは宮沢湖と呼ばれる人造湖で、以前は「レイクサイドパーク宮沢湖」というミニ遊園地のようなレクリエーション施設があり、父の生家が近くにあった私は子供の頃からよくそこに遊びに行っていた思い出の場所だ。大人になってからは近くて遠い場所と化して全く足を運ばなくなり、昔の写真でごく稀に見るだけのノスタルジアの欠片の一つとなっていた。ところが2018年に、ムーミンのテーマパークとして「メッツァビレッジ」が開業し、久々に訪れてから一変。“日本のフィンランド“ともいうべきブランディングが宮沢湖の自然と完璧に融合し、新しい価値を、そして私の新しい思い出を生み出してくれる場所となった。
ゆったり流れる時間
都内でこんなスペースが無料で開放されようものならヒトヒトヒト…、と人混みだらけで確実に辟易するだろうに。飯能という立地の好条件が活きている。パーソナルスペースが広い…!そして空間の余裕はそのまま心の余裕に繋がり、時間がゆったり流れている感覚になる。至る所にベンチがあり、ゴミ箱がある。都内では安全と衛生上の理由からか、駅でも公園でも、ベンチもゴミ箱も排除されて久しい。湖のすぐ脇にはスターバックス コーヒー 飯能メッツァビレッジ店があるが、席が空くのを待ってウロウロしたり、飲み終えたフラペチーノやほうじ茶ティーラテの空のカップをいつまでも持ってウロウロしたりする必要もない。
もはや我が庭
2016年に生まれた娘はメッツァビレッジがもはや我が庭のような感覚で、毎度遊びに行っては大声上げて芝生の上を元気に走り回っている。犬も出入りOKでドッグフレンドリーなここでは散歩コースになっているワンちゃんがたくさんいて、たまになでなでさせてもらう。夏には花火を毎週見た(空いている)。月に一度ほど週末開催するマルシェでは新鮮な野菜やドライフルーツを買い、キッチンカーで注文したお昼ご飯でピクニックをする。そして冬にはフィンランドのロバニエミからやってきた(公式の!)サンタクロースに手紙を渡して記念撮影もした。
私の密かな喜び
娘がフレッシュな自然の空気の中で活発に過ごしてくれるのも嬉しいけれど、立ち並ぶ北欧テイストのショップを毎回覗きつつ少しずつ購入した北欧グッズが家の中に増えていき、理想のインテリアを徐々に実現させていることも私の密かな喜びなのだ。
文:神田聖ら(ethica編集部)
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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