【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   
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【ethica Traveler】連載企画Vol.1 宇賀なつみ サンフランシスコ編(序章)   

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd HM=HITOMI AKIYAMA

「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。

 今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな体験をするのは旅とお酒が大好きで、2023年には旅のエッセイ集『じゆうがたび』を出版したフリーアナウンサーの宇賀なつみさんです。

【あわせて読みたい】宇賀なつみ サンフランシスコ編

(第1章)サンフランシスコ国際空港

(第2章)W サンフランシスコ

(第3章)アリス・ウォータースの哲学

(第4章)サンフランシスコ近代美術館

(第5章)ゴールデン・ゲート・ブリッジ

(終章)Returning to TOKYO

カリフォルニア州サンフランシスコ市郡

アメリカ合衆国、西海岸のカリフォルニア州北部に位置するサンフランシスコ。通年で気温の差が比較的小さい地中海気候のこの地は、穏やかな気候のため住みやすく、観光地としても人気の高い都市です。50以上の丘とそれに伴う急な坂が網の目のように広がる地形で、市内では伝統あるケーブルカーが交通手段として活用されている様子がツーリストにも人気です。

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

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また、カリフォルニア内陸の渓谷地帯と北太平洋高気圧からの風の影響で夏に霧が発生するのが特徴で、fog(霧)とAugust(8月)を掛け合わせてFogustなんて単語も生まれているほど。しかしそんな霧も魅力的な自然の風景の一つとして人々にとっての風物詩となっているのです。

近現代ではシリコンバレーも近いサンフランシスコでは、ツイッター(現X社)やドロップボックスなど、テック企業が多く集まる場所としても知られていて、新しい流れや変革を歓迎する地としての特徴も持っています。

サンフランシスコのサステナビリティ

そんな土地柄のサンフランシスコですが、実はサステナビリティやエシカルとも親和性があり、数多くのエシカルなマインドやブランドが発展してきたヒストリーを持つ地であることをご存知でしょうか。

例えば、1960年代に起こったベトナム反戦運動に端を発するカウンターカルチャーはヒッピー文化を生み出します。1967年、サンフランシスコのゴールデン・ゲート・パークの集会に3万人のピッピーが集まり、同年夏には「サマー・オブ・ラブ」と呼ばれる社会現象に発展します。サンフランシスコ郊外のヘイト・アシュベリーはヒッピーたちの聖地となり、そこを拠点とした「ORACLE」というヒッピー新聞も1966年から1969年の間に発刊されていました。こうしたヒッピームーブメントは、大量消費に自然破壊にといった物質主義を批判して、平和やエコや精神世界の豊かさと地球環境保護を謳っており、後のエシカルやサステナブル、ウェルビーイングに繋がるまさに原点と言えます。

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

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サンフランシスコのサステナビリティを語る上で、もう一つの特徴がオーガニック文化です。今でこそ近所のスーパーでもごく当たり前に見かけるようになり、生活の身近になっているオーガニックフードですが、カリフォルニアはこうした「オーガニック(有機農法で作られているもの)」という概念を生み出すのに大きな役割を果たしました。サンフランシスコの東に位置するバークレーでは、「シェ・パニース」という「ローカル(地元で採れたもの)、シーズナル(季節の旬のもの)、オーガニック(有機農法で作られたもの)」をコンセプトにしたレストランが1971年にオープン。創設者のアリス・ウォータースは、「エディブル・スクールヤード・プロジェクト」という、今でいう「食育」のような形で子どもたちへの教育も推進した人物であり、今ではスローフード界の重鎮とも言える人物です。

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

カリフォルニア大学バークレー校の学生だったアリスは、言論の自由運動、反戦運動、公民権運動の只中を生きてきた中で「大地に帰れ運動」に憧れ、さらには、1960年からカリフォルニアで展開されたセサル・チャベス主導の農業労働者運動のブドウストライキを間近に見たことで、食べるものを育てる人たち、つまり農家の権利にはこんなふうに関心を集めたらいいと学んだのだと言います。そして、皆にいい食事を出すことに希望を見出し、「地球規模で考え、地域で行動しよう」のスローガンを胸に、スローフードを推進したのでした。

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

同時代の1970年代にはサンフランシスコのベイエリアに、オーガニック系食料品店の先駆けとも言える、独立型グローサリーのRainbow Grocery(レインボーグローサリー)も開業しています。ここではオーガニック及び地元で生産された食料品を提供したり、産地を明確に示す取り組みを行ったり、あらゆる食材が量り売りの対象となっていて自宅から専用容器を持参することも推奨しているほど、エコの意識を高く持っているのです。他にも、オーガニックの食品や日用品の品揃えが充実した「ホール・フーズ・マーケット」や、フレッシュな野菜や果物が並び、オリジナルパッケージでユニークな商品をリーズナブルに取り揃える「トレーダー・ジョーズ」など、魅力的なグロサリーストアが数多く存在し、人々の生活の一部となっているのです。

Photo=YUSUKE TAMURA ©TRANSMEDIA Co.,Ltd HM=HITOMI AKIYAMA

そうした、新しいものを受け入れる自由さと、ウェルビーイングへの関心の高さを備えるサンフランシスコのサステナビリティを実際に確かめるべく、エシカ編集部と旅好きの宇賀なつみさんが取材へ行ってきました!

文:神田聖ら(ethica編集部)

次回はいよいよ、東京から約9時間のフライトを経て到着したサンフランシスコ市にて、現地でのサステナブルな旅をリポートしていきます。

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出演:宇賀なつみ

1986年東京都練馬区生まれ。2009年立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビューする。その後、同番組スポーツキャスターとして、トップアスリートへのインタビューやスポーツ中継等を務めた後、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「池上彰のニュースそうだったのか」等、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーランスとなる。現在は、『土曜はナニする!?』(関西テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!」(テレビ朝日)、『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)等、テレビ・ラジオを中心に活躍中。

企画・構成:ethica編集長 大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年7月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」を創刊。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業12期目に入り、自社メディア事業で養った「情報力」と「アセット」を強みに「コンテンツ」「デジタル」「PR」を駆使した「BRAND STUDIO」事業を展開するほか、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を展開。

参考文献

『spectator 第45号 日本のヒッピームーブメント』,幻冬舎,2019

吉木双葉,「米国カリフォルニア州におけるセサル・チャベス主導の農業労働者運動―成功要因再考」, ラテンアメリカ研究年報No.34,2014

アリス・ウォータース,『スローフード宣言 食べることは生きること』,英治出版,2022

碓井美樹,『スーパーマーケットのグロサリーデザインinサンフランシスコ』,誠文堂新光社,2014

宇賀なつみさん初のエッセイ本『じゆうがたび』

気象アナウンサーからスタートし、スポーツキャスター、報道・バラエティ番組などキャリアを積み重ねる中で湧き上がった心情や直面した壁を、旅先の記憶と共に綴った55のエッセイ。学生時代・プライベートのことなども飾らずに語られています。等身大の宇賀なつみが惜しみなく表現されていて読み進めるごとに人としての彼女を好きになっていく…、そんなエッセイ本です。

『じゆうがたび』は発売中

詳しくはこちらから

https://amzn.asia/d/igNdB3J

 

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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