「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。
今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな体験をするのは旅とお酒が大好きで、2023年には旅のエッセイ集『じゆうがたび』を出版したフリーアナウンサーの宇賀なつみさんです。
「私によくて、世界にイイ。」をコンセプトに2013年に創刊した『ethica(エシカ)』では、10周年を迎える節目にあたり、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を特集しています。
今回は、カリフォルニア州サンフランシスコ市のエシカルな取り組みを取材!エシカ編集部と共にサステナブルな体験をするのは旅とお酒が大好きで、2023年には旅のエッセイ集『じゆうがたび』を出版したフリーアナウンサーの宇賀なつみさんです。
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数多くのエシカルなマインドやブランドが発展してきた歴史を持つ地、サンフランシスコに、多くのサステナビリティの見どころがあると聞いて取材を行い、編集部ではこれまで6回にわたって連載をお届けしてきました。実際に訪れてみて肌で感じたことのポイントの一つに、外から来たものを排除せず歓迎するサンフランシスコのオープンマインドな風土がありました。ゴールドラッシュから多くの移民を受け入れてきた歴史に端をなし、その中でゲイやレズビアンが集うようになったり、ハーヴェイ・ミルク(※)のような政治家が出てきたりといった流れが、今日のサンフランシスコがLGBTQ+に関連する運動の中心地ともなっている背景に繋がっているのです。そうした文化の片鱗が、様々な場所に点在するアートとも相まって自由の象徴のように感じたのかもしれません。
また、テック系の(ユニコーン企業と呼ばれるような)世界的に有名な企業が密集して軒を連ねている光景には圧倒され、活気と都市全体の勢いのようなものを感じました。様々な観点から取材したいポイントが未だたくさんあり、帰国するのには名残惜しいのですが、後ろ髪を引かれる思いで東京に帰国します。しかし、帰路に着く間も「家に着くまでが旅!」ということで、帰りの飛行機として搭乗するエアラインの「ZIPAIR」にて、実践されているサステナブルなフライトに関する取り組みを深堀りしていきます。
※ハーヴェイ・ミルクは1977年にカリフォルニア州サンフランシスコ市の市議会議員に当選し、選挙で選ばれた公職人としてアメリカにおいて初めてゲイを公表した人物。ガス・ヴァン・サント監督、ショーン・ペン主演で映画化もされている(『MILK』2005年)
観光を通じて、世界中の人々の生活と彼らが依存している環境を改善することに取り組んでいるサステナブル トラベル インターナショナルによると、観光業は世界の炭素排出量の約 8%を占めており、そうした観光に伴い発生するCO2の49%は、移動によるものだと言います。そして、こうした観光に関わるCO2の排出量を減らすために、一つの手段としてカーボンオフセットを推奨しているのです。
今回の旅は、サステナブルがテーマなので往復の移動に利用する飛行機の路線は、航空業界の中でも時代を先駆けたサステナブルな取り組みを積極的に推進している「ZIPAIR」をチョイスすることに。2020年にJALグループの新しいエアラインとして誕生したZIPAIRは、成田=サンフランシスコを結ぶ新路線が2023年6月に就航したばかり。フルサービスキャリアでもローコストキャリアでもない、新しい基準を作るべく、「NEW BASIC AIRLINE」という新たなキャリアをブランディングし、航空業界に参入しました。そしてその、新しい基準を作る、というミッションが象徴するように、ZIPAIRは航空業界の中でも時代の潮流を先取りした革新的な取り組みを行っているのです。
地球規模の課題である気候変動の解決に向けて、今やCO2の削減は世界共通で喫緊の課題となっている中、2020年10月には航空業界でも国際航空分野における脱炭素化の長期目標「2050年までのカーボンニュートラル」が採択されました。カーボンニュートラルとは、二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの人為的な排出量を、植林や森林管理などによる吸収量を持って差し引くことで、「実質ゼロ」にするということ。こうした背景があることから、近年では飛行機に乗る際に、自身が搭乗して移動した分に排出された二酸化炭素の量に応じて相応のクレジット(現金)を支払い、植林等の吸収量を増やすプロジェクトの投資に回すことで実質ゼロを目指す、「カーボンオフセット」の仕組みも生まれました。
こうした取り組みは2050年の目標に向けた着実な一歩ではありますが、しかしまだまだ個人の意識の高さや意志に頼るところが大きく、普及には課題があります。そうした中、ZIPAIRでは2023年4月より動物油脂を原料としたバイオマス燃料*を使用し、各企業が温室効果ガスの排出枠を定めて、その権利を企業間で売買できる排出権取引制度(キャップ・アンド・トレード)も活用します。
こうした自社努力での削減プラス排出量を他企業から購入するといった取り組みを採用することは、企業責任としての強い意志が感じられます。
*SAF/Sustainable Aviation Fuel(持続可能な航空燃料)
ZIPAIRのサステナブルなフライトを実現するための取り組みは、機内の中でも至るところで配慮が施されています。まず、私たちが体験するサービスの大きな一つである機内食ではフードロス削減のために、あらかじめメニューを確認した上での事前予約制を採用しています。スナックやドリンクといった軽食は自分のスマホやタブレットからオンラインでセルフオーダーすることができますが、それも数に限りを設けているためリアルタイムで在庫がわかるようにシステム化されていて、無駄のない消費を実現しているのです。
また、メニュー内容にはハラル認定のヴィーガンメニュー(「大豆ミートのハンバーグ」、「照り焼きバーガー」)、ヴィーガンヌードル、白砂糖や卵・乳製品不使用のケアリングアイスなど、幅広い食の選択に対応できるように充実させてメニューを取り揃えている点も嬉しいところ。機内用品には全てにおいて脱プラスチックを目指しているため、食器類は紙製か再生プラスチックを使用し、機内食を運ぶカートの引き出しまでも再生プラスチックを使用していて、細部まで徹底するこだわりにはサステナブルへの意識の高さが窺えます。
余剰な積荷を減らす取り組みは、フードロス削減はもちろんのこと、機体が軽くなることで結果的に燃料の節約にも繋がります。機体の軽量化は他にも、座席の背面に従来設置されていたシートモニターを取り除くことで機体の総重量が減って、燃費も向上することで大きく改善されました。整備士によるメンテナンスも不要になることがコスト削減につながり、結果的に利用者料金にも還元されるという好循環を生み出します。全てのクラスで飛行中もWi-Fi機能を使えるようにしたことで、乗客それぞれが使用しているスマホやPC、タブレットの使用が可能になり、機内の液晶を設けなくても良い形になったことが燃料費削減に大きく貢献しているのです。
フライト中は機内モードでオフラインが今までは常識でしたが、いつものツールを使ってお気に入りの動画を見たり、メールやSNSにもアクセスしたり、機内サービスをセルフオーダーしたり、といったことが可能になったのも現代人には嬉しいメリットです。
持続可能な社会を実現するために、地球環境を意識することはもちろんですが、ヒトへのウェルビーイングの実現も同じように大切にしていく必要があります。ZIPAIRが重点的に取り組んでいることに、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)があります。女性が働きやすい社会の実現に欠かせないフェムテックへの意識も高く、吸水性ショーツのパイオニアブランドでもあるBe-A JAPAN と協力をしてBé-A〈ベア〉の超吸収型サニタリーショーツを機内販売したり、大学に赴き、若者に向けた授業の共同開催をおこなったりといった連携もしています。
そしてもう一つ、航空業界における新たな試みとして当初から話題を集めたのが客室乗務員の制服でした。客室業務だけでなくグランドスタッフとしても働くZIPAIRの働き方スタイルに合わせ、業務内容によって制服を選べる「着回し」スタイル。長時間立っていても走っても安全で疲れないスニーカーの採用。そうした制服の提案で、従来のミニスカートに肩パットに足元はヒールといった在り方から、多様さと働きやすさというニュースタンダードスタイルを確立させようとしているのです。
長距離を移動する旅の道中では、いかに身体を休められるかも大切なポイント。今回、帰国の際にはZIPAIRが一押しするフルフラットシート(ZIP FULL-FLAT)を体験しました!スタンダードとフルフラットシートの2種類を有するZIPAIRでは、従来の航空業界が提供するファーストクラスやビジネスクラスに比べて、はるかにお手頃価格でワンランク上のクラスの座席を提供しているのです。
ボタン一つで可動し、完全に横になれるだけの長さと、空間的にも間仕切りを敷かれたパーソナルなスペースが備わっていて、完全に熟睡できる快適な座席となっています。約10時間のフライトがあっという間に感じられ、もっと乗っていても良いと思えるくらいの楽しい体験ができました。
旅のはじまりはサステナブルなフライトから。
ZIPAIRでの旅はこちらから。
今回の旅を通じてサンフランシスコの食の哲学や、アートを大切にする姿勢、オープンマインドな風土を実感することができました。
“スマホを捨てよ旅へ出かけよう”
私たちは、日々スマホやインターネットの情報の渦のなかで生活をしています。中にはゴシップやフェイクニュース、射倖心を煽るようなものも少なくありません。
情報に踊らされるのではなく、実際に自分の目で見ることが大切です。
旅をし、自分の体験から得た知識や思考をめぐらせることは、人生の豊かさに繋がるのではないでしょうか。
今回のサンフランシスコに引き続き、新たなサステナブルを見つける旅へまた一緒に訪れましょう!
文:神田聖ら(ethica編集部)
皆さんも宇賀なつみさんとのサンフランシスコのサステナブルな旅を映像体験でお楽しみください!
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出演:宇賀なつみ
1986年東京都練馬区生まれ。2009年立教大学社会学部を卒業し、テレビ朝日入社。入社当日に「報道ステーション」気象キャスターとしてデビューする。その後、同番組スポーツキャスターとして、トップアスリートへのインタビューやスポーツ中継等を務めた後、「グッド!モーニング」「羽鳥慎一モーニングショー」「池上彰のニュースそうだったのか」等、情報・バラエティ番組を幅広く担当。2019年に同局を退社しフリーランスとなる。現在は、『土曜はナニする!?』(関西テレビ)、『池上彰のニュースそうだったのか!!」(テレビ朝日)、『日本郵便 SUNDAY’S POST』(TOKYO FM)等、テレビ・ラジオを中心に活躍中。
企画・構成:ethica編集長 大谷賢太郎
あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年7月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」を創刊。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。
創業12期目に入り、自社メディア事業で養った「情報力」と「アセット」を強みに「コンテンツ」「デジタル」「PR」を駆使した「BRAND STUDIO」事業を展開するほか、エシカルでサステナブルな世界観、ライフスタイルをリアルに『感動体験』する場を展開。
宇賀なつみさん初のエッセイ本『じゆうがたび』
気象アナウンサーからスタートし、スポーツキャスター、報道・バラエティ番組などキャリアを積み重ねる中で湧き上がった心情や直面した壁を、旅先の記憶と共に綴った55のエッセイ。学生時代・プライベートのことなども飾らずに語られています。等身大の宇賀なつみが惜しみなく表現されていて読み進めるごとに人としての彼女を好きになっていく…、そんなエッセイ本です。
『じゆうがたび』は発売中
詳しくはこちらから
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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