快適なバスの中で、美食を堪能しながらランドマークを楽しむ粋な観光はいかがでしょうか。昨年、株式会社JTBが8月12日〜8月24日の期間限定で、2階建てのバスに乗車して東京の食材を活かしたディナーを楽しみながら都内を周遊する「TOKYO レストランバス」ツアーを催行しました。エシカ編集部の体験内容をレポートしていきます。

快適なバスの中で、美食を堪能しながらランドマークを楽しむ粋な観光はいかがでしょうか。昨年、株式会社JTBが8月12日〜8月24日の期間限定で、2階建てのバスに乗車して東京の食材を活かしたディナーを楽しみながら都内を周遊する「TOKYO レストランバス」ツアーを催行しました。エシカ編集部の体験内容をレポートしていきます。
近年、耳にするようになった「ガストロノミー」。ガストロノミーという言葉自体は、日本語では「美食術」や「美味学」と訳されていることが多いのですが、ここでいう美食とは、贅沢な、お金をかけた美味いものばかりを食べることを指しているだけではありません。
その概念は「美味しい」を基準にしながらも、いわゆる「フード(食べ物)」の範疇を超えて、文化、遺産、伝統、アイデンティティ、共同体を反映するものであり、食事や料理を通じて文化を考察する姿勢でもあることから、普通の食事とは一線を画する、上位概念として認識されています。
こんな風に聞くと、何やら堅苦しく感じてしまうかもしれませんが、実際に、「食文化」という言葉があるように、食事も一つの文化であることは馴染みがあるのではないでしょうか。
例えば、2013年には日本の和食がユネスコ無形文化遺産に登録されました。世界では他にも、フランスの美食術やメキシコの伝統料理、トルコのコーヒー文化と伝統、スペイン・ギリシャ・イタリアをはじめとする地中海料理や、韓国のキムチを製造・分配するキムジャンといった伝統なども、ユネスコ無形文化遺産として登録がされています。2017年の法改正では、日本の「文化技術基本法」一二条により初めて、〈食文化〉が生活文化の一つであると認められていて、もはや「食」が文化の一つとして認められていることは疑いようのない事実であることは明らかです。
そして、今日世界的に問題視されている「食品ロス」や「水産資源の枯渇」や「農薬使用量の削減」等々、食文化に直接関わるさまざまな課題は、ガストロノミーの課題でもあるのです。ウェルビーイングな生き方を意識する上でも大きく関わってくる「食」と言う大きなカテゴリーで、ガストロノミーがサステナブルを実践していく一つの指針にもなりそうです。今回、そんなガストロノミーを東京都心で味わうことができるプランを発見しました。それがJTBが企画する「TOKYO レストランバス」ツアーです。
JTBが "地域食材" と" 観光" を融合させた「TOKYOレストランバス」ツアーに採用された「WILLER」の2階建バス Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
今回のツアーの会場となるのは、天井がオープンルーフ仕様となっている2階建てバスの上のフロア。ステップを登りついた場所は、バスの中とは思えない広がりを感じさせる、まさに小さなレストランといった雰囲気の空間です。
バスの2階は小さなレストランといった雰囲気 Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
テーブルには、グラスのホルダーとなる穴の空いた台も Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
両側に固定されたテーブルには、グラスのホルダーとなる穴の空いた台が据え付けられ、座り心地のよい座椅子にはきちんとシートベルトが備わっています。頭上にはエアコンやライトも設置され、コンパクトながらも快適に過ごせるような工夫が施されていることがわかります。
天井はオープンルーフ仕様 Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
ツアーの流れは丸ビルを出発し、皇居や国会議事堂を眺めながら、原宿や渋谷といった中心街を通り、東京ミッドタウン、東京タワーを眺め、銀座を抜けて出発地に戻る、といったコース。その途中途中で、訪れる名所をイメージした色を東京産の野菜で彩ったお料理が提供されます。飲み物もペアリングワインを含めた多様なドリンクが飲み放題で提供されるとのこと。
皇居前の大芝生広場に点在しているクロマツの数は約2,000本だそう。 Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
明治神宮外苑の緑をイメージした季節野菜のテリーヌ Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
東京タワーを間近に Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
東京タワーの赤をイメージした、ビーツとパプリカのソースでいただくローストビーフ Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
銀座のシンボル和光の時計塔 Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
銀座の街並みを走り抜けながらの食事は非日常体験でした。 Photo=Kentaro Ohtani ©TRANSMEDIA Co.,Ltd
乗車前に心配していた、バスという制限された空間の中での食事の心地も想像以上に快適で、そのサービスのクオリティの高さに驚きでした。
見慣れた街であったはずの都内が、今回のツアーに参加したことで、彩り豊かで鮮やかな新しい体験として、記憶に残せたことに新鮮な気持ちになりました。バスに乗って体験する新感覚のガストロノミーツアー、機会があればぜひ一度乗車してみてはいかがでしょうか!
定期運行は終了しておりますが、貸切運行は日程等によっては可能な場合もありますのでお気軽にお問い合してみて下さい。
JTBが提供するサービス「LivingAuberge」について
リビングオーベルジュは、食・サービス・空間など、それぞれのプロフェッショナルが創り上げる「一流の食事体験」を、自宅やオフィスなどの「日常空間」をはじめとしたお客様の望む場所やシーンで提供する「感動パーティー」をプロデュースするサービスです。料理のみを提供する一般的なケータリングやフードデリバリーとは異なり、「特別な食事体験」に関連するさまざまなサービスを組み合わせてアレンジします。本企画においても、このサービスを活用し価値の高い体験をお客様に提供していきます。
参照:https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2023/11/13_jtb_living-auberge.html
文:神田聖ら(ethica編集部)
〈参考文献〉
尾家建生・高田剛司・杉山尚美(2023) . 『ガストロノミーツーリズム 食文化と観光地域づくり』. 学芸出版社
ブリア=サヴァラン 著・玉井豊男 編訳・解説(2017) . 『美味礼讃』. 新潮社
農林水産省.“特集1 ユネスコ無形文化遺産への登録が決定!大切に伝えたい。わたしたちの「和食(washoku)」(1)”
国連世界観光機関(UNWTO)2021年 “ガストロノミーツーリズム発展のためのガイドライン”
https://unwto-ap.org/wp-content/uploads/2021/05/0512gastronomy_j_low.pdf
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp
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