8月から映画が公開していることでもいま話題の漫画『ブルーピリオド』は、絵を描くことの楽しさに目覚めた主人公が、東京藝術大学を目指して奮闘・葛藤する姿を描いた青春ストーリー。そんな『ブルーピリオド』の世界観と現代アートのリアルを体感できるコラボプロジェクト「ブルーピリオド ✕ArtSticker vol.2」が六本木にある「アートかビーフンか白厨」にて開催中とのことで、さっそく編集部が取材してきました。
カルチャーの発信地
ArtStickerの運営を手掛けるThe Chain Museum がプロデュースした、台湾料理が楽しめるアートギャラリー「アートかビーフンか白厨(パイチュウ)」は、アート作品を鑑賞しながら、飲食スペースで食事ができるという新しいタイプのギャラリー。
元々アートギャラリーの一部でもあったという店内は、天井や床、柱がコンクリート打ちっぱなしのようなスタイリッシュな空間で、真っ白な壁もアートを飾るのにもぴったりな様相です。
食事を提供しているカウンターは、薄いグリーンのアクセントがお洒落で、ワインをはじめとするお酒が並ぶカウンターそれ自体が一つのオブジェのように、食事のシーンを引き立ててくれそうです。カウンターのそこここにサインが並んでいて、ここがカルチャーの発信の場であることが伝わってきます。
こちらで提供している台湾料理をベースとする創作料理も美味しくて常連さんにも評判が高いのだとか。今回は味わえませんでしたが、ビーフンをぜひ食べてみたい!
『ブルーピリオド』の世界に飛び込んだような展示を味わう
展示の方に目を移せば、現代アートらしく多種多様な作品が並びます。あるテーマで生成されたAIを使った作品や、マリア像の型に入ったバービー人形の立体作品など、アーティストによって作品に内包させたいテーマがそれぞれ違って、多様性の面白さを肌で実感します。
『ブルーピリオド』の作品の中に使用される絵を描いた作家さんの作品もあり、本当に『ブルーピリオド』の世界をリアルに体感している気分になってきます。
アーティスト支援を積極的に行っているArtSticker
店内のカウンターにズラリと並ぶのは、名前入りのラベルが付けられたボトルキープのウイスキー。実はこれも、アーティスト支援の一つの取り組みなのだとか。ArtStickerで作家登録をしたアーティストであれば誰でもこちらのお酒をフリーで飲むことができて、お酒を購入するのはアーティストを応援したい気持ちを持つ誰か、というユニークな試みです。
人や作品にもよりますが、芸術分野は材料を揃えるだけでもかなりのお金がかかると言います。絵の具や筆やキャンバスは消耗品ですし、たとえば彫刻を施す人は安くても4万〜10万もするような木の丸太を自分で購入しなければならない等。ただでさえ駆け出しのアーティストは作品によって金銭的に生活を確立させることが難しい中で、制作を進めることもままならない、そんな悩みも少なくないでしょう。
ArtStickerは元々、アーティストを直接支援することで新たなお金の流れを生み出し、アートをよりひらかれたものにすることを目的として、株式会社The Chain Museum代表の遠山正道氏によって立ち上げられたプラットフォーム。敷居が高く感じるアート業界をもっと日常の領域に広げてアートと個人が直接繋がること、そして多様なジャンルを楽しめることを目指しています。そんな思いがまさに具現化した一つの支援のカタチが、一人ひとりの支援者の名前が記載されたボトルの数々。こうした支援の輪がこの先も広がっていくのを応援していきたいと思います。
※展覧会の開催は9月28日(土)まで
文:神田聖ら(ethica編集部)
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
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