ランチタイムに小旅行! 偏見なく世界の国々を食べ、知り、話して世界をもっと身近にしよう
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ランチタイムに小旅行! 偏見なく世界の国々を食べ、知り、話して世界をもっと身近にしよう

外国に旅に出ると、今まで想像していなかったようなその国の姿が見えたり、あらためて日本の良さを実感したりと、様々なことを考えませんか? そんな「旅行」を、日本でランチを食べながらプチ体験できるプロジェクトがあります。LunchTrip(以降ランチトリップ)というプロジェクトです。

ランチトリップは、ランチタイムにある国について「ガイド」と呼ばれる人からお話を聞き、ワークショップでその国について理解を深め、その国のランチを食べるというプロジェクト。会場を飛行機に見立て、クルー(=ランチトリップのスタッフ)と共に、これから旅する国について機内で学んでいるという設定で、その国を深く理解することを目指しています。

2ヶ月に1〜4回、不定期で開催され、今まで40回以上のランチトリップが行われています。各回は40〜100人ほどの募集で、費用は4,000円程度。東京がメインですが、大阪、静岡、福岡などでも年に数回開催しています。

サウジアラビア便の様子

2012年1月に行われたランチトリップは「サウジアラビア便」。サウジアラビア大使館で行われ、事前にパッセンジャー(=参加者)はクルー(=ランチトリップ運営者)から「女性は肌の露出をしないように」という連絡を受け、文化を感じながら服装選びをしました。

当日は、トーブ、アバヤと呼ばれるサウジアラビアの伝統衣装が用意され、日本人クルーもそれを着用して説明。サウジアラビアはイスラム教の国ですが、イスラム教に対しては「なんとなく怖い」というイメージを持つ人がいるかもしれません。そんなイメージを払拭するために、当日はサウジアラビア人がお祈りのパフォーマンスをしてくれたそう。パッセンジャーからは「真剣に祈っている姿から平和を感じた」等という感想が寄せられました。

また、ランチトリップはワークショップに力を入れており、事前課題もあります。この便の事前課題は「サウジアラビアに関する指定テレビ番組をみて疑問点を考えてくること。」当日は、番組をみた結果わき起こったパッセンジャーの疑問を、ワークショップでサウジアラビア人を交えて話し合い、一夫多妻を入り口に考え方や問題点にまでアプローチして、サウジアラビアという国を理解しました。そして最後においしいサウジアラビア料理でランチ。参加者同士が考えたことを話し合い、交流しながら、2時間半の搭乗を終えました。

ランチトリップに込められた想い

旅に出たような気持ちになれそうなプロジェクトですが、このランチトリップは、一体どんな想いで行われているのでしょうか。代表の松澤亜美さんにお話を聞きました。

松澤さんは言います。

松澤さん「ランチトリップを始めたのは、自分がアメリカ留学をしていたときに感じたいくつかのことがきっかけです。留学していたのは9・11テロのあとだったのですが、家の近所でターバンを巻いた男性が、イスラム教徒だとして殺されたのです。実際には、その人はイスラム教徒ではなくシーク教徒だったのに。近い将来、日本ももっと国際化が進むでしょうが、異文化理解を進めた方がよりよい社会を作れると思いました。

また、ルームメイトはメキシコからの移民だったのですが、アメリカのことを『この国はいろんなことを偽っている』と言っていました。彼女は6歳の頃からリンゴ畑で働いていたそうです。そうやって一方で移民の労働力に依存しつつも、もう一方で移民を追い出そうとしているアメリカの姿を彼女は『偽っている』と表したのです。そうやってアメリカの人種や民族の多様性の問題を考えるうちに、『日本は単一民族だと言われがちだけれど、そうではないな』と翻って国内の問題を考えることにもなったんです。」

松澤さん「留学中は現地の生活に入り込みたかったので、私が仲良くしていたのは、日本に興味があるわけではないアメリカ人ばかりでした。そうすると、彼らにとっての日本は『寿司を毎日食べている』くらいの認識しかないのですよね。そこで開いたのが手巻き寿司パーティ。食を通してだと時間もたっぷりあるし、美味しいと笑顔になるので、母国のことを話しやすい、知ってもらいやすいのです。これを日本でも開きたいと考えました。」

他国をよく知れば憎悪犯罪を減らせる可能性があるし、今までに気づかなかった自国の状況も見えてくる。そんな実感を持った松澤さんは帰国後、大好きな「食」、「旅」、「パーティ」をキーワードにしたイベントなら続けられると考え、「食」と「旅」が好きな友達2人とランチトリップをスタート。現在まで延べ1,000名以上が参加するプロジェクトになりました。

ランチトリップに参加しませんか?

パッセンジャー(=参加者)たちの評価も上々。「日本とはまったく違う価値観に触れて、『もっと自由に生きて良いんだな』と思った。」とか「この国を非常に身近に感じることができた。ぜひ一度、実際に行ってみたい。」といった声が出てきているそうです。

松澤さんは、「食事を楽しんで、その国のことをそのときのガイドならではの視点で知り、 ワークショップを通じて、その国を自分に引きつけて考えてみる。そこから、異文化理解が進んだり、もっと社会を良くしたいという思いが生まれたりすればうれしいです。」と話します。

おいしい食事を食べながら、その国の文化を理解し、日本を再発見できるランチトリップ。皆さんも一度、参加してみてはいかがでしょうか。

 

取材協力=LunchTrip松澤亜美さん(http://www.lunch-trip.com

FelixSayaka

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