イケア社員が醍醐寺を清掃、僧侶と意見交換 日本文化に根付くサステナビリティ 醍醐寺1日修行体験(後編) 提供:イケア・ジャパン
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イケア社員が醍醐寺を清掃、僧侶と意見交換 日本文化に根付くサステナビリティ

醍醐寺の金堂(国宝)への道を僧侶とともに清掃するイケア・ジャパンの従業員たち。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

前編に続き、イケア・ジャパンが従業員向けに実施したワークショップ「醍醐寺1日修行体験」の模様をお伝えします。午前中、僧侶の方々の案内で醍醐寺の歴史に触れた参加者たちは、午後、境内を清掃し、イケアの家具でコーディネートした寺内のカフェで、僧侶とサステナビリティに関する意見交換会を行いました。世界最大規模のホームファニッシングカンパニーが、世界遺産の寺院での修行を通じて考えるサステナビリティ。最高気温30度を越えた初夏の一日、深緑の境内に黄と濃紺のユニフォームが点々とする風景は、とても象徴的でした。

シンプルな清掃作業の中に見出した、ものを美しく保ち、大切に扱うノウハウ

さて、午後からはいよいよ境内の清掃活動です。一同揃って仁王門をくぐり国宝の金堂前に集合。そこから午前中の二班に分かれ、用意された竹箒と雑巾を手に、境内の掃き掃除および拭き掃除を行いました。また一部のメンバーは、駒板と呼ばれる寺内の掲示用の看板製作を行いました。

掃き掃除を行う黄と濃紺のユニフォーム姿に、参拝客が不思議な顔をして通り過ぎる。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

参加者のほとんどが、自宅や職場の普段の掃除に使用するのは、掃除機や長柄のワイパーでした。床の雑巾がけなど久しぶりで、慣れない姿勢の力仕事に、早々に息切れ気味に。そんな参加者たちに、テキパキと掃除の仕方を指導しつつ、僧侶の方々は、建築に使用されている素材や技法について説明くださいました。

黙々と掃き掃除を行う参加者たち。いつの間にか無心になっていた。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

掃除という単純作業の中に、一つ一つの物の由来と伝承を学び、素材の特質や取り扱いについて知識を深める貴重な機会があふれていました。こうしたことが醍醐寺では1000年以上、日々繰り返されて来たのでしょう。

一見すると簡単なようでいて、境内の清掃は体力も要領も、そして知識も必要でした。参加者は、長い歴史の中で、数え切れないほどの人々が、お寺の建物や道具を丁寧に扱い、日々手入れをして美しく保ってきたという事実に気付いたようです。およそ一時間の清掃活動を終え、汗と埃にまみれた参加者たちの表情はとても清々しいものでした。

日本人の生活文化にもともと根付いていたサステナビリティ

さて、1日修行の終わりは、醍醐寺内のカフェ「cafe sous le cerisier」での意見交換会です。初めに、醍醐寺の執行を務める仲田順英師より、「お寺としてのサステナビリティの考え方」と題したお話があり、続いてイケア・ジャパンアクティングサステナビリティマネジャーのマティ 絵莉さんから「イケアのサステナビリティ戦略について」と題したお話がありました。

醍醐寺内のカフェ「cafe sous le cerisier」で参加者に向けて語る仲田順英執行。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

仲田執行は、仏教の教えについて、現代の私たちにもわかりやすい言葉で、様々な例えを交えながら噛み砕いて説明し、「サステナビリティ」の精神が、実は日本人の生活・文化の中に古くから根付いているものであることを指摘されました。

自然を敬い、古いものを大切に扱い、工夫しながら長く愛用する。「サステナビリティ」とは、決して新しい概念ではなく、現代の私たちが物質的な豊かさの中でいつの間にか見失ってしまっただけなのだということをお話しくださいました。

企業成長と社会問題解決の取り組みは両立する

そして、この仲田執行のお話を受けて、マティさんは、イケア発祥のスウェーデンと日本の国民性とには多くの共通点があることを嬉しそうに話しながら、サステナビリティ戦略においては、明確な数値目標を掲げ、そこに向かって取り組んでいく企業としての強い意志を表明しました。

両者のサステナビリティに対する思いが、世界遺産・醍醐寺と世界最大級の家具メーカー・イケアを結んだ。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

世界規模の企業だけに、向き合う課題も地球規模ですが、そうした成果を生むためには、一人一人の小さな努力と心がけの積み重ねが必要であることを、この日の修行体験の参加者は、世界遺産・醍醐寺の歴史に触れることで、強く実感したようでした。

一人一人の日々の心がけで世界は変えられる

お二人の話の後には、5つのグループに分かれてのディスカッションを行いました。それぞれのグループに僧侶及び職員の方々が参加し、下記の4つの項目についてディスカッションし、最後に各グループが話し合ったことを発表しました。

・サステナビリティについて今日新しく学んだことは?

・日々の生活の中でそれらをどのように活かせますか?

・サステナビリティを日々の生活と仕事の中で活かすためには何が必要ですか?

・今日一日を通じて学んだことの中で取り入れていきたいものは?

ほとんどのグループで挙がったのは、日々の生活の中での個々人の意識改革の必要性。頭ではなんとなくわかっていても、つい面倒に思ってしまったり、他人事のように捉えている、当たり前のことを見直すことの大切さでした。

日本全国のストアから集まった参加者たち。

職種も様々、ほとんどが初対面だったが活発な意見が飛び交った。

顧客にとって良い商品を提供し、従業員にとって働きやすい環境を整備していくことは、結果的に環境にも社会にもポジティブな影響を与える。そこにあるのはとてもシンプルな構図であることを、最後の意見交換会を通じて、この日の参加者たちは改めて実感したようでした。

他人事ではない、広めていくこと、続けていくこと

この日、取材陣とともに、この意見交換会に同席した関係者からも、今回の試みが、醍醐寺とイケアの二者間のみで共有されるものでなく、より多くの人に認知されることで、さらに意義深いものになるのでは、との感想が寄せられました。

こうした研修、そして意見交換の場が今後も継続的に設けられ、また、その活動が周知されることで、サステナビリティへの意識は、着実に人々の間に広がっていくのではないでしょうか。今回このような機会を設けられた醍醐寺の方々の寛容さと思慮に敬意を表するとともに、今後も、イケア・ジャパンのサステナビリティに関する取り組みと発信に、大いに期待したいと思います。

「サステナビリティは現在から未来へ向かう問題ではなく、過去から続いてきたものを未来へ伝えていく問題だということに今日の体験を通じて気づいた」という参加者の言葉が印象的だった。 Photo=Eijiro Toyokura ©TRANSMEDIA Co.,Ltd

前編はこちらから

醍醐寺1日修行体験(前編)世界遺産・醍醐寺でイケアの社員が修行 千年の歴史に学ぶサステナビリティ

記者:松崎 未來

東京藝術大学美術学部芸術学科卒。同大学で学芸員資格を取得。アダチ伝統木版技術保存財団で学芸員を経験。2011年より書評紙『図書新聞』月刊誌『美術手帖』(美術出版社)などのライティングを担当。2017月3月にethicaのライター公募に応募し、書類選考・面接を経て本採用となり、同年4月よりethica編集部のライターとして活動を開始。関心分野は、近世以降の日本美術と出版・印刷文化。

ーーBackstage from “ethica”ーー

今回の取材で、醍醐寺の弥勒菩薩様に14年ぶりにお会いすることができました。つい先日まで、奈良国立博物館の特別展に出陳されていたので、ふたたび弥勒堂で再会でき、とても嬉しかったです。無常の世の中に、変わらぬお姿で迎えてくださる存在の有り難み。多くの方々の日々の努力と、その時代時代を乗り切って来た寺院の剛柔双方の対応があったればこそだと思います。今回ご一緒した皆様とのご縁が、今後も何らかの形で続いていきますように。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

松崎 未來

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