碓井社長: あるいはね、遠く離れたオフィスの全体の様子をプロジェクターで大きく投影して、まるで一緒の空間で仕事をしているように感じさせることもできるんです。「拡張オフィス」っていうんだけれど。そうすると「あ、○○さん、いま席を立ったから、ちょっと話しかけてみようかな」って、会話も自然な雰囲気になる。プロジェクターを活用して空間を変えることで、コミュニケーションのあり方が変えられるんじゃないかな、と。
通信インフラが整ってきて、サテライトオフィスみたいなものが増えてきているけれど、やっぱり人と人とがフェイス・トゥー・フェイスで話をするコミュニケーションは捨てがたいでしょう? そういう空間演出ができれば、あたかも対面で話しているような臨場感で仕事ができるようになるんですよ。まあ、すぐにビジネスに結びつくかはわからないけれど(笑)。
確かに、メールや電話でやりとりするだけでなく、仕事中の仕草だったり、デスク周りだったり、その日の服装、体調や気分、そういうちょっとした相手の情報が目に見えることで、社内のコミュニケーションが円滑に進むということはありそうです。碓井社長のお話を聞いているうちに、私たちの日常生活の中にプロジェクターがある未来が見えてきます。
碓井社長: プロジェクターで部屋の雰囲気を変えて、ときにはホームシアターにして。そうして将来的には、プロジェクターが室内照明の役割を担ったらって思うんだよね。単に部屋を明るくするだけの照明じゃなくて、空間そのものを彩る次世代の照明。それこそが、私たちが目指しているプロジェクションの姿なんです。まあ、それはちょっと先の話だけどね(笑)。
と目を細める碓井社長。基調講演では「お客様の期待に応える」という言葉をたびたび繰り返していらっしゃいましたが、同社が追究するのは、そうした人々の夢をかなえるための技術であり、製品の可能性を拡げるのは、人々の想像力なのだということを、改めて実感します。