文部科学省が展開する「トビタテ!留学JAPAN」の9期生としてドイツに留学し、そこで学んだこと、感じたことを綴ってきたこの連載ですが、いよいよ最終回。1年間お付き合いいただき、ありがとうございました! 今回もぜひ、最後まで読んでいただけると嬉しいです!
『みんなの心の中に生きるということ』
英語で “You will always be in my heart!” という表現があります。「あなたはいつも私の心の中に」という意味ですが、この言葉って本当だなと実感しています。
6か月、1年間という時間を一緒に過ごした大切な人たち。
そんな彼らと簡単には会えなくなるということ。
でもその人の存在や、一緒に作った思い出はずっと覚えておきたい。心の中でずっとキープしたいと思いました。そして反対に、私自身も、みんなの心の中に残れたらいいなと。みんなが「日本」って聞いた時に、私と過ごした日々を思い出して、ちょっとでもハッピーになれたらって。私は今でも、ドイツや、友達がいる国の名前を聞くといろいろなことを思い出して嬉しくなります。だから私もそんな存在でいられたらいいな。そう思いました。
前にも書いたけれど、彼らにとって初めて出会った日本人である私の存在は、日本の印象を大きく決めるもの。
日本という言葉から私を連想して、ああ、日本から来てたあの子はあんな子だったなってプラスのイメージを持ってもらえたら本当に嬉しいです。
「一期一会」という言葉の先には、会うことは1回きりでもその人の存在や思い出はずっと心の中で生き続ける、だから会える時間を大切にすること。そんな意味が隠されているような気がします。
みんなとのお別れの時、私は自分らしさと日本らしさを兼ね備えた折り紙や、みんなの名前を漢字で書いたカードをプレゼントしました。今でも部屋に飾ってくれている友達がたくさんいて、ああ! 私も彼らの心の中に残ることができたかな! って嬉しくなります。
毎日何気ないことでも報告しあったり、色々な言語を混ぜてメッセージを送りあったり、こんな関係が国境を超えて、いつまでも続いていくことを願って……。いつまでもみんなの心の中にいられることを願って……。
そして、「これから」
帰国後すぐに、日本で一緒にボランティア活動をしていた友人たちやそのご家族に、私の留学経験をプレゼンテーションする機会をいただきました。
大切なのは、留学を終えた「これから」。
ドイツでの経験をどのように伝え、生かしていくのか。
現地の写真と環境問題に関するさまざまなデータをまとめた資料をプロジェクターで投影しながら、ドイツで学んできたことを伝えました。私からのメッセージとして、ドイツの生活は日本よりもはるかに『ECO – FRIENDLY』であること、環境問題は決して他人事ではないということをお話しました。そして、誰にでも今日から始められることがあるという呼びかけもしました。
お土産に、ドイツのエコバッグを配りました。
「このエコバックを使う時に、今日の話を思い出してもらえたら嬉しいです」と。
その場にいた方々が、私のプレゼンを聞いて、「今日からビニール袋をもらうのをやめる」と口々に言ってくれました。そんな感想を聞けたのが、とっても嬉しかったです。
これをきっかけに、環境について関心を持ってもらい、さらに誰か一人でもいいから、この話を周りの人に広げてもらえたら、と思います。
私の1年間の経験を、今度は日本で活かすことができる。
これこそが、私が今やりたいことなのだと実感しました。
何かの、誰かの「きっかけ」になること。
これからもこのような機会を大切に、もっと活動していきたいです。
ドイツの留学経験から感じたことや学んだことをお伝えしてきた「スミレのドイツ留学 回顧録」は、今回をもって終了となります。ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございました。
記者:スミレ
1997年生まれ。千葉県出身の大学生。トビタテ9期生として、2019年1月よりドイツに留学。2016年よりNPO法人じぶん未来クラブにて学生ボランティアとして活動。日本各地で行われる教育ワークショップにてこれまでに1000人以上の子どもたちと関わる。ボランティアリーダーとして各ワークショップを率いたり、新規ボランティアを対象とした研修等も行う。学業やアルバイトからは得ることのできない「ボランティアの魅力」を1人でも多くの学生に伝えたいとの想いのもと、「ボランティア先進国」と呼ばれるドイツにてボランティアを行いその仕組みを探る。
Pay it Forward ~優しさは連鎖する~
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp