(第30話)「クラシック音楽で日常にいろどりを」キコの「暮らしの塩梅」
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(第30話)「クラシック音楽で日常にいろどりを」キコの「暮らしの塩梅」

「私によくて、世界にイイ」が実現できる、エシカルな暮らしのカタチってなんだろう。仕事に家事に育児に……。日々生活を回すだけでも大変な私たちにとって、新しく行動を起こすのはエネルギーも時間も使うし、ハードルが高く感じてしまうもの。

でも日々の暮らしのなかで、少しでも”良い”につながることができたら?

当たり前の毎日のなかで、大切な家族も、世界も、そして私自身もほんのちょっぴり幸せになるような選択をしていけたらいいなと思うのです。

第29話では、古道具の魅力と古道具市の楽しみ方をお伝えしました。

今回の記事では、気負わず楽しめるクラシック音楽の魅力をお伝えしたいと思います。

今日は、おばあちゃんとコンサートに行く日。

いつもならおうちで食卓を囲んでいる、うっすら暗いこの時間。

 

シワのないワンピースと磨かれた靴、きちんと畳まれたハンカチが入ったかばんを下げて、背筋が伸びるような気持ちで、キラキラと輝く賑やかな街を通り抜けていく。

 

今日は、おばあちゃんとコンサートに行く日。

 

行き先にそぐわない振る舞いをしないようドキドキしながら、待ちわびていた特別な日にちょっぴり背伸びした装いで胸を躍らせていた幼き日の記憶は、今もふとした時に蘇ってきます。

 

私の祖母は芸術やクラシック音楽が大好きな人で、小さい頃から祖母の家に遊びに行くと、

いつもお部屋には、ステレオから流れてくる、声が通らないくらいの音量の音楽が満ちていて、それに合わせてご機嫌に歌う祖母の姿がありました。

 

そんな祖母は、小さい頃から機会を見ては私たち姉妹をバレエやオペラ、クラシックオーケストラのコンサートに連れて行ってくれました。

 

その影響もあって、楽器を習っていた妹と一緒に音を合わせたり、お出かけの車のなかで合唱したり、日常の中に当たり前のように音楽がありました。

クラシック音楽とは?

さて、前置きが長くなりましたが、今回はそんな幼き日の思い出と、徐々に深まりつつある”芸術の秋”ならではの、クラシック音楽の楽しみ方と魅力をお話できればと思います。

 

クラシックとは「古典的」という意味で、一般的には17世紀から19世紀あたりまでのヨーロッパを中心とした西洋の芸術音楽のことをさします。

 

クラシックで有名な音楽家といえば、ベートーベンやモーツァルト、バッハなど。音楽の授業で一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

 

クラシック音楽には、長い歴史のなかで培われてきた基本的な形式や様式の決まりごとがあり、それに則って作られたものという特徴があります。

とはいえ、時代が進むにつれ作曲家によってその決まりを変化させたり、新しい様式が考えられたりと、定義は難しいものとなっているようです。

 

クラシック音楽で用いられる楽器は主に15種類で、弦楽器はヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバス。木管楽器はフルート、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ピッコロなど。金管楽器はトランペット、トロンボーン、ホルン、チューバなど。打楽器はティンパニ、マリンバなど。そしてその他にはハープ、チェンバロ、パイプオルガン、ピアノなどの西洋楽器で構成されます。

クラシック音楽の魅力と楽しみ方

古くさい、眠たくなる、なんだか小難しい、といったイメージも少なくないクラシック音楽ですが、よく耳をすませてみると、運動会やCM、ドラマのBGM、ポップスミュージックのカバー、家電や電子機器のお知らせ音など身近なところにあふれています。

コンサートなどに行った時に、”あ、この曲知ってる!”と意外な発見もあって楽しいものです。

 

クラシック音楽には、深いリラクゼーション効果があります。

構えすぎず、まずはなじみのある曲や好みの楽器、自分にとって心地よく感じる音楽を探してみるのも楽しいものです。気分や感情に寄り添ってくれるのもクラシック音楽の魅力。

同じ曲を聴いても、演奏者や指揮者が変わるだけで全然違う音楽に聴こえることも。

一人ひとりの個性や感性、表現の仕方によってオリジナリティあふれるものになるのは、芸術ならではの醍醐味ですね。

 

私自身、好きと言っても嗜む程度ですが、クラシック音楽は心地よい暮らしに欠かせないもののひとつです。

 

朝はピアノや弦楽器のシンプルで優しいメロディーのもの、少し気分を上げたい時はバレエ音楽など軽快で華やかなもの、なんだか気分が落ち込んでいて音楽にどっぷりと浸りたいなぁ、という時は、重厚感のあるピアノ協奏曲や壮大なオーケストラの演奏を。

 

そして、時にはコンサートへ足を運んで。

多彩な音に全身を包み込まれる体験は、家では味わえない、生の演奏ならではのものです。

 

地域のホールや劇場などで、学生や有志の団体が演奏するものから、海外の有名な交響楽団や指揮者が出演するものまで、日々何かしらのコンサートが開催されています。

気分に合わせて情報をチェックして、好みの曲目を見つけた時に行ってみるのも良い気分転換になるかもしれません。

漫画や映画で楽しむ方法も

クラシック音楽をテーマにした漫画や映画を観ることも、親しみやすい方法です。

漫画や映画ならクラシック音楽に詳しくなくても、ストーリーを通して普段知ることのないクラシックやプロの世界に触れることができます。

 

定番の『のだめカンタービレ』は、原作の漫画をはじめドラマ、映画ともにクラシックブームを巻き起こすほど話題となりました。一度は、この作品名を耳にしたことがあると思います。

個性あふれる音大の学生が主人公のこの作品は、登場人物同士のやりとりが面白く、音楽の専門的な話題もテンポの良いコミカルなストーリーとともに楽しめます。

 

クラシック音楽をテーマとした漫画は意外と多く、絵と文字だけのはずなのに、不思議と音が聞こえ、その迫力も伝わってきて感情が揺さぶられる、そんな魅力があります。

時にはじっくり、本物の音に触れることを大切に

プログラミングされた電子音にあふれている現代。手軽に音楽を楽しめる良さもたくさんありますが、時には一人ひとりの演奏者が心を込めて奏でているクラシック音楽にじっくりと耳を傾けたいものです。

 

特に生の演奏には、独特な楽器の形や弾き方、演奏者の表情、息遣い、会場の雰囲気や音の響き、オーケストラならではの多彩なハーモニーなど、五感を通して感じることがたくさんあります。

 

難しいことはいったんおいて、ただ目を閉じて時間を忘れて音に浸る、そんなひと時を味わってみるのはいかがでしょうか?

 

特に感性の豊かな子どもこそ、本物に触れることを大切にしたいもの。

祖母がプレゼントしてくれたクラシック音楽との出会いを、いずれは我が子にも贈れたら……と思います。

【連載】キコの「暮らしの塩梅」を読む>>>

季子(キコ)

一児の母親。高校生のころ「食べたもので体はできている」という言葉と出会い食生活を見直したことで、長い付き合いだったアトピーが大きく改善。その体験をきっかけに食を取り巻く問題へと関心が広がり、大学では環境社会学を専攻する。

産後一年間の育休を経て職場復帰。あわただしい日々のなかでも気軽に取り入れられる、私にとっても家族にとっても、地球にとっても無理のない「いい塩梅」な生き方を模索中。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

季子(キコ)

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