【ethica-Voice】セブン&アイグループが取り組むサステナブルな商品開発 企業の様々なサステナブルな取り組みをインタビュー(第1回)セブン&アイグループ
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【ethica-Voice】セブン&アイグループが取り組むサステナブルな商品開発

イトーヨーカドーでは全国135店全店舗で、オーガニックコットンを使った寝具や衣類、リサイクルペット素材を使ったオリジナル商品などを特設売り場にて紹介し、持続可能な生産と消費を広めるための活動を推進(サステナウィークと連動)

豊かな地球環境を未来の世代につないでいくため、2019年5月にセブン&アイグループが策定した環境宣言が「GREEN CHALLENGE2050」です。そこではCO2排出量の削減やプラスチックごみ問題、食品ロスやリサイクル対策、さらには持続可能な食の調達を掲げています。

私たちが毎日買ったり食べたり、使ったりしているものの中にもサステナブルなプロダクトが増え、身近に手に入る時代になってきました。そして、新型コロナウイルスの感染拡大によって私たちの生活スタイルが大きく変わりつつある中、イトーヨーカ堂でも、いち早く新しい生活シーンに合わせたショップをたまプラーザにオープンするなど身近な場面で変化が表れています。

今回は、その変化についてイトーヨーカ堂 SDGs推進室 小山遊子さん、セブンプレミアム戦略開発部 衣料担当 村上健夫さんにお話を伺ってみました。

エシカ編集部 御社では、サスティナビリティの取り組みはいつ頃から始めていらっしゃるのでしょうか?

小山 私たちが売っているものが廃棄物となっているということでリサイクルボックスをお店に置いたり、納品の形態を変えてハンガーを無駄にしないようにするといった取り組みはすでに1970年代からやっています。

そして、2002年からは持続可能な調達と商品を目指して「顔が見える野菜」というプライベートブランドをスタートしました。この頃は商品の安全性がとても話題になった時でもあり、お客様と生産者様の顔が見える関係を構築して、安心安全でおいしい食品をお客様に提供し続けるとともに生産者様を応援したいということから始めた取り組みです。今では野菜だけではなく魚や肉、卵などと顔が見えるシリーズは年々拡大してきており、例えば魚では天然資源には頼らないという側面から養殖魚の構成比を上げるということにずっと取り組んできて、完全養殖の魚を顔が見えるお魚ということで販売しています。

エシカ編集部 素晴らしい取り組みですね。他にもありますか?

小山 2008年からセブンファームを立ち上げて、お店から出た廃棄物を堆肥化してセブンファームに戻して野菜を生産し、その野菜を再び店舗で販売する完全循環型の農業をやっています。あと、コウノトリを育むお米ということで、コウノトリのエサとなる生き物が生息できる田んぼを作るために、販売した商品の代金の一部を寄付するという取り組みも始めています。

エシカ編集部 顔が見える商品というのは、私たち消費者にとって安心できて、とてもいいですね。その中で特にヒットしたものというのはありますか?

小山 個別にどうというよりも、お客様には全体的なブランドということで認知していただいていると思っています。

エシカ編集部 イトーヨーカ堂さんではペットボトルの再利用の商品も提案していらっしゃると思いますが、それについてお話しいただけますか?

村上 私どものグループの中にペットボトルの回収機があるのはご存じですか?

エシカ編集部 はい、知っています。

村上 回収したペットボトルを栃木にある会社に運んで、そこでペレットという粉のようなものにします。それをシャンプーやリンスの容器にしたり、ペット トゥ ペットでもう一度ペットボトルにしたりして使うというようなことをやってきました。

そして、今年の2月からはイトーヨーカ堂の代表商品である「ボディークーラー」、紳士や婦人のインナーに回収したペットボトルから作った繊維を利用したものを出して、今はちょうど冬物のシーズンですから「ボディーヒーター」にも採用しています。

エシカ編集部 着心地はいかがでしょうか?

村上 夏とか冬とかには関わらず着心地は常に追求していますので、肌触りや蒸れ、ニオイに関しては万全を期しています。ペットボトルを再利用していると何か違うのではないかと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、回収したペットボトルはキャップを外し、ラベルを剥がしてきれいにしたものをペレットにしていますので、無色透明なきれいで純度の高い原料となります。汚れがあると繊維がグレーや黒っぽくなって、特に純白が求められるインナーには使えなくなりますから。

エシカ編集部 評判はいかがでしょうか?

村上 3月から5月の非常事態宣言が出ていた時期は、お店を一部閉鎖したりしたため営業的には苦しい時期もありましたが、宣言が解除になった6月には売り上げを大きく伸ばしました。

エシカ編集部 それは、おウチ時間が増えたからですかね?

村上 そうでしょうね。大きくいうと、着こなしが変わってきたのではないかと思いますね。通勤のスタイルが変わったというのが一番大きいのではないでしょうか。

今まで衣料品というと、日々の生活の寄り添うというのが第一義で、通勤や通学に主眼を置いていたので、婦人ものではパンストタイツやパンプス、紳士ものではドレスシャツやビジネスシューズといった辺りは大きく落ち込みました。ウチナカということで何が起きたかといいますと、ボディークーラーのインナーのように、家でも着心地がいい、インナーであって家でもインアウターとして着られるようなものの需要が一気に高まりました。

エシカ編集部 アイテム数としては何点ぐらい展開しているのですか?

村上 紳士と婦人合わせて27点ですね。

エシカ編集部 オーガニックコットンに関してはいかがですか?

村上 それまでなかったわけではありませんが、グループとして本格的に取り組もうということでセブンプレミアムでは婦人のインナーから始めて、婦人の靴下、子どものTシャツ、そして最近オープンしたたまプラーザのお店では紳士のインナーや靴下という形でアイテムを拡大しています。私たちもエシカルということを考えた時にグループとしてオーガニックを積極的に取り扱っていこうということで今進めています。

エシカ編集部 オーガニックでいうと、御社のみの特徴というのはどういうところにありますか?

村上 オーガニックコットンというもの自体は肌触りがすごくいいということではなくて、オーガニックの裏に潜むもの、例えば無農薬でやっているとか生産者に優しいとか、そういうCSR的なことを含めて、買われる方もそういう環境の活動に参加しているというのがポイントになると思います。ですから、着心地や肌触りにも当然こだわりますが、1つの商品にオーガニックをたくさん使っているというよりも、地球に優しい、生産者に優しいから買うとお客様を意識して、その両面で考えています。

エシカ編集部 お客様のそうした意識は高まっていると考えていいのでしょうか?

村上 これは私の個人的な感想ですが、特に非常事態宣言が解除された後、環境に関する意識が変わってきたような気がします。オーガニックが週によっては昨年の2倍くらい売れましたから。それほど関心が高まっていて、私どもとしても今後はオーガニックを拡大していこうという戦略で考えています。

エシカ編集部 他には何かありますか?

村上 今やり始めているのが傘です。これは古着を回収して、それを傘に再利用しようという取り組みで、いわば繊維 トゥ 繊維ですね。9月に紳士用を2種類出しました。

それともう一つはデニムのパンツです。デニムというのは、ご存じかもしれませんが、何回も洗ってその都度水を流します。そこで汚水を減らそうということで、工場内で水を何回も循環させて90%以上の水を無駄にしないで済むシステムを開発しました。それで作ったデニムパンツをこの秋から販売しています。

エシカ編集部 今後の展望はどのように考えておられますか?

村上: 自分たちがやっているだけでは、お客様になかなか伝わっていきませんので、やっていることを伝えていくことが大事だと考えています。私たちが作ったものを使ったり食べたりしていただいて、着心地がよかったよ、おいしかったよといっていただける、そういうところに繋げていかないとやっている取り組みも続いていきませんので、そういったところを継続していきたいと考えています。

ですから、あくまでも買う人の立場に立ったものづくりを基軸にしながら、環境というものをとらえていきたいと思っています

エシカ編集部 具体的にはどのような売り方をされる予定でしょうか?

村上 お客様を抜きにやることは絶対にありません。作っていく過程の中でコンセプトの検証は必ずやります。そして、その時に意識するのは「現場を見る」「マーケットを見る」「お客様の声を聞く」「現状分析をする」ということ。マーケットがどう変化しているのかということを考えると、それを買うお客様がどういう気持ちなのかを直接聞くということはとても大事です。ですから、時には大きなウェブ調査をしたり、ターゲットとなる人に事前にサンプルを着てもらって評価してもらったりとそうしたことをすごくやっています。

エシカ編集部 今日はありがとうございました。

小山 こちらこそありがとうございました。

村上 ありがとうございました。新しくオープンしたたまプラーザのお店もぜひ一度いらっしゃってください。今日のお話が実感していただけると思いますから。

エシカ編集部 はい、ぜひ伺います。

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

ethica編集部

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