皆さんは、マイバッグを活用していますか?昨年の7月から開始したプラスチック袋有料化によって、日本国内では使い捨てプラスチックの問題が注目を浴びるようになりました。私たちの周りにあふれているプラスチックは、その多くが使い捨てされており、きちんと処理されていないプラゴミが環境に流出することもあります。特に近年、海洋プラスチックの問題は深刻で、年間800万トン(ジャンボジェット機5機分の重さ相当)が海に捨てられていると言われています。それに対し、国連はUNEP(国連環境計画)のもとで対策を講じており、また日本政府もそれに参加しています。(記者:エシカちゃん)
UNEPとは
UNEPはUnited Nations Environment Programの略で、日本語では「国連環境計画」と表されます。1972年、「かけがえのない地球」をテーマに開催された国連人間環境会議で採択された行動計画を実行するための機関として発足しました。持続可能な環境を目指し、人や動物などのあらゆる生命、それを包括する地球そのものを、将来にわたって守っていく取り組みを行っています。さらに同計画には、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた中期的な目標として、7つのサブプログラム(気候変動、災害・紛争、生態系管理、環境ガバナンス、廃棄物、資源効率性、環境レビュー)が設置されており、4~5年に一度達成度評価が行われます。
直近では、2021年2月に“Strengthening Actions for Nature to Achieve the Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標の達成に向けた自然環境のための行動強化)”をテーマに、第五回国連環境総会が行われました。会議では、SDGsの達成期限である2030年に向けて取り組みを一層強化することや、新型コロナウイルスによる経済打撃への政策が持続可能な社会に貢献するものとなることなどを確認しました。
日本政府の取り組み
国連環境計画の取り組みの一つとしてここで取り上げたいのが、東南アジア・インドにおける海洋プラスチックごみ対策プロジェクト「CounterMEASURE」です。このプログラムは主に、メコン川流域(東南アジア地域——ベトナム、カンボジア、タイ、ラオス)、ガンジス川流域(スリランカなど)を対象にプラスチックごみゼロを目指すもので、日本政府と国連の協働により発足しました。
日本政府はCounterMEASUREプロジェクト(第一段階・第二段階)に対して、2019年から2020年にかけて7億5千万円の拠出を行い、また日本やアジアの研究機関やNGOなどとも協業しています。
世界の海洋プラスチックの主要な発生源とされる東南アジアですが、その実態に関しては調査があまり進んでいません。そこで本プロジェクトは、日本の技術力を活かし、ドローンや最新のテクノロジーを用いることによって海洋汚染の科学的根拠を集めることを目的の一つとしています。また、それによって各国への政策提言がより効果的なものとなることが期待されています。
メコン川清掃プロジェクト
このプロジェクトの一環として、2020年9月には、メコン川の清掃プロジェクトが行われました。タイの都市チェンライに市民や学生約90人が集まり、清掃活動を通して地域美化とデータ収集を実施。データ収集とは、どこにどのような種類のゴミがどれだけあったかを調べるもので、海洋プラスチックの発生元や経路を辿るのに役に立ちます。つまり、このプロジェクトはただのゴミ拾いではなく、海洋汚染を根源から解決するための取り組みなのです。結果的には、約90キロのゴミと貴重なデータを回収することに成功しました。
詳しくは、CounterMEASURE HPへ
https://countermeasure.asia/ja/scouring-the-mekong-for-trash-and-data/
海洋プラスチック問題は私たちが今すぐにアクションを起こさなければいけない問題です。こうしている今も海には大量のプラスチックが流れ出し、海洋を汚染しているからです。そうした中で、日本政府が国連と共にプロジェクトを発足させ、現地で環境保護に取り組んでいることは歓迎すべきことでしょう。
国連環境計画についてもっと知りたい方は、2021年3月23日(火)に開催された「UNEPフォーラム2021」のページをチェックしてみてください。このイベントは、UNEPの国内理解と普及活動を行う日本UNEP協会が主催したもので、第五回国連環境総会の報告や食品ロス削減にもつながる有事への備えについての講演などがありました。当日の投影資料や映像が現在公開中ですので、ぜひご覧ください。
一般社団法人 日本UNEP協会「UNEPフォーラム2021」
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp