[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-2】 ethica beauty project
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[連載企画]冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。 【chapter1-2】

撮影:平間至

世界で活躍するモデルに必要なものを「容姿」と言い切る冨永愛さん。ファッションの世界において、美しさの定義、価値観はしかし、多様化しているという。

年齢と経験を重ねた今、美しいひとが考える「真の美しさ」とは?

これまでどう生きてきたか、これからどう生きていくかからあふれてくるもの

美のためのルーティンを日々続け、努力を惜しまない。冨永さんはその理由を、きっぱり「生きがいであるモデルの仕事を続けるため」と言い切る。

モデルをやめたら「何もしないと思います。で、食べたいものを食べたいだけ食べる!」と笑うが、実はこれまで、「やめる」とまではいかないまでも、大きな転機が二度あった。

一度目は「コレクションからの引退」。妊娠、出産を経て、乳飲み子を抱えながらも世界のコレクションサーキットを颯爽と闊歩した。母の強さと優しさを纏った冨永さんは、むしろ新しい美しさを手に入れたようにも見え、事実、アジアのトップモデルとしての地位を手にする。しかし世界の賞賛とは裏腹に、冨永さんは「やめどきを探っていた」と吐露する。「次の場所に行こう、行かなくちゃ、という思いに駆られたのです」

2010年、ブログでコレクションからの引退を発表。これまでとはまるで違うフィールド、ラジオやテレビに活躍の場を広げていった。が、仕事も子育てもと多忙を極め、体も心もいっぱいいっぱいになった冨永さんは倒れてしまう。

「入院先のベッドで意識がもうろうとしている私を心配そうにのぞき込む息子の姿に、一緒に過ごしてきた時間が少なすぎたと後悔しました。この子ともっとちゃんと向き合おうーー。そう心を決めたのです」

こうして二度目の転機は「休業」という形で訪れる。3年間、一切の仕事から距離を置いたのだ。

撮影:平間至 トップス¥62,400、パンツ¥62,400(税別)/ ナヌーシュカ( HiRAO INC [ヒラオインク])

モデルの活動から離れた間も、しかし、実はトレーニングや美のケアを「今ほどではないけれど、やってはいました」と冨永さんは振り返る。「私はやっぱりモデルの仕事が好きなんだと、離れてみてより強く感じたのです。いつの日かこの場所にまた戻ってくるためには気を抜くわけにはいかない。そんな思いがありました」

そして2017年、息子さんが中学に進学したタイミングでモデルとしての活動を再開。だが、ファッション業界は大きく様変わりしていたという。

「モデルの世界は回転が早く、鮮度、つまり若さが命。私が若いころはそうした風潮が強くありましたが、1990年代に一世を風靡したスーパーモデルたち、シンディ・クロフォード、ナオミ・キャンベル、クラウディア・シファーなどが次々と復活し、年齢を重ねてもなお圧倒的な存在感と美しさを知らしめました。モデルのトレンドは年々変化し、最近はジェンダーレスなモデルも活躍しています。また、SNSが強大な影響力を持つようになったことで、かつてはVIPやジャーナリストが占めていたコレクションの観覧席の最前列をインフルエンサーが占め、かつてはモデルだけに許されたランウェイもインフルエンサーが歩くように。『美』の定義、価値観は非常に多様になっていると感じています」

ファッションやモデルの世界に限らず、日本では「若さ」、ともすれば幼さすら感じさせる「かわいさ」が、特に女性には求められる風潮がいまだ根強い。年齢とキャリアを重ねながら世界で活躍するモデルの実例もほとんどない。「今、すでに日本の女性の半分以上は50代以上、10年後にはさらに増えていく。若いモデルだけでは世相にもファッションにもリアリティーがなくなってしまう」と富永さん。そしてこう続けた。

「私がこれまでやってきたことは、いつも前例がなかった。これからもそうやって、未開の地を切り開いていくのかもしれませんね」

そんな冨永さんが今の場所で考える「美しさ」とは?

「内面の美しさだと思います。それは、これまでどう生きてきたか、これからどう生きていくかからあふれてくるもの。結局は、人間としての豊かさが真の美しさにつながる。私はそう考えています」

決してファッションやモデルの世界だけではない。自分らしく、どう生きるか。美しさは、人生そのものなのかもしれない。

連載企画「冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。」全8回にわたってお届けしてまいります。

 

【連載】「冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。」を読む>>>

 

<撮影協力>

・フォトグラファー:ITARU HIRAMA

・スタイリスト:SOHEI YOSHIDA (SIGNO)

・メイク:Mio (SIGNO)

・協力:UNDER GROUND

・コーディネーション:TRANSMEDIA Co.,Ltd

 

<商品に関するお問い合わせ>

HiRAO INC [ヒラオインク]

 〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-11-11-608

03-5771-8809

 

冨永愛

17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題となる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルの他、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティなど様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。2019年秋、TBSドラマ日曜劇場「グランメゾン東京」では主要キャストとして抜擢、女優としても活躍。公益財団法人ジョイセフアンバサダー、エシカルライフスタイルSDGs アンバサダー(消費者庁)

初翻訳となる女の子を応援する絵本『女の子はなんでもできる!』(早川書房)が楽天ブックスで 1 位(外国の絵本部門2020年11月24日~11月25日)となり、絵本としては異例のスピードで重版が決まり、読みやすく、元気になる言葉は、子どもからも評判を得ている。原題は”Girls Can Do Anything”(文:キャリル・ハート 絵:アリー・パイ)

冨永愛さんによる読み聞かせ動画はこちらから https://youtu.be/bMJrWM-xpfw

文・中津海麻子

慶応義塾大学法学部政治学科卒。朝日新聞契約ライター、編集プロダクションなどを経てフリーランスに。人物インタビュー、食、ワイン、日本酒、本、音楽、アンチエイジングなどの取材記事を、新聞、雑誌、ウェブマガジンに寄稿。主な媒体は、朝日新聞、朝日新聞デジタル&w、週刊朝日、AERAムック、ワイン王国、JALカード会員誌AGORA、「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」など。大のワンコ好き。

構成・大谷賢太郎

あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。

創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開中。

「冨永愛 美の法則」(ダイヤモンド社)概要

世界的トップモデル冨永愛のランウェイで学び得た「美しい人になる習慣」。究極の美肌術、ボディメイク、美しい歩き方、食べ方、仕事、セックス、美の哲学ほか、アジアを代表するスーパーモデルのビューティーライフ。20年間、パリコレをはじめ、世界最高の美の価値観に触れてきた著者だからこそ話せる「美の法則」。

詳しくはこちらから

https://www.diamond.co.jp/book/9784478109793.html

私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp

中津海 麻子

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