美しさとは?ーー 永遠のテーマとも思えるこの命題を、自分の経験や習慣、乗り越えた苦難までをも丁寧に語ってくれた。最終回、「美しい人」冨永愛さんが伝える「美しさの理由」とは?
美しさは生き方からあふれるもの
スキンケアやトレーニングなどの日々のルーティン、食生活のこだわり、そして考え方など、「美」について大いに語ってもらった。その上で、冨永愛さんはこう話す。
「美しさは生き方からあふれるもの。そう思っています」
17歳でセンセーショナルに世界のランウェイにデビューし、スーパーモデルとして究極の美の世界に触れてきた。美しさのトレンドが目まぐるしく変わるのを目の当たりにしてきた冨永さんは「美しさの価値観は時代によっても変わるし、場所によっても変わる。幼いころから巨人だの宇宙人だの言われていた私が、ファッションモデルとして世界から評価されたように」と、自らの経験を引き合いに出しながら、こう続ける。
「美の絶対的定義など存在しない。結局は、何を見て何を感じるか、いかに自分と向き合い、自分を大切にしているかーー。つまり、どう生きているかという姿勢こそが美しさの本質なのだと思うのです」
以前よりいまの自分が好きに
今回の連載でも「自分」という言葉を何度となく語っていた。自分と向き合い、自分に素直に、自分に厳しく、でも自分に一番優しく……。それが冨永さんの美しさ=生き方につながっているわけだが、最近、自分を好きじゃない、自分を大切にできない人が多いことを危惧しているという。とりわけ日本の若者の自己肯定感が主要国の中でも最も低い(内閣府「我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」より)ことには驚きを隠さない。
「自分は何のために生まれ、何のために生きているんだろうーー。若い時代は思春期のホルモンの作用もあってなのか、そう感じる人が多いように思います。私もそうでした。だから、若い人が自己肯定感が低いのはある程度は仕方がないことなのかもしれませんが、もう少し自分を好きになってあげてもいいんじゃないかな、って。自分を知って好きになることは、自分自身を強くするから」
では、どうしたら自分を好きになれるのか? 冨永さんは自著で「自分を好きになる方法」として次のように語っている。
「私は仕事以外でも、やってみたいこと、やりたいことに、できる限り挑戦し、何ができて何ができないのかを知ることで、自己肯定感を高めてきた」
「100%、自分を理解することはできないのだろうし、時々自分のことが分からなくなることもある。それでも、以前よりいまの自分を好きと言えるのは、好奇心に突き動かされ、色々なチャレンジを経て、こうして自分にできることと、できないことが、少しずつ分かってきたからかもしれない」
(『冨永愛 美の法則』から抜粋)
モデルという天職に軸足を置きながら、役者としてドラマに出演したり、コラムを書いたり、社会貢献活動に参加したり……。それこそが、興味や好奇心に突き動かされながら、冨永さんが「自分を知る」ための大切な経験なのだろう。
体、心、そして社会がいい状態
「Well-being」。今、世界で注目されている概念だ。「幸せ」と訳されるが、瞬間的なものではなく、長続きする幸福感、とでも言おうか。たとえば地位や名声、お金といった要素は、一瞬は幸福度を上げるものの、他人と比較して「上には上がいる」と気づき、幸福度は下がってしまう。冨永さんはこう指摘する。
「ファッションなど美の世界ではまさに『見た目』が勝負。他人と外見を比べて美を追い求めたところで、上には上がいるし、欲望にはキリがない。幸せを感じるのはほんの一瞬で、『もっと、もっと』と焦るばかり。それは決して幸せとは言えない」
では、どんな要素が「Well-being」に繋がるのだろうか? 幸福論の研究では、体、心、そして社会がいい状態であること、と言われている。それはまさに、冨永さんが実践し、目指していることと重なる。
「『幸福論』というととても難しく聞こえるけれど、私はただ自分が生きていることで誰かの助けになればいい。そう考えています。そして、いまの私は体は健康で、やりたいことがあり、誰かの役に立てる使命もある。とても恵まれていて、幸せです」
飽くなき好奇心、使命感、そして慈しみにあふれる生き方。それが、「美しい人」冨永愛さんが、美しく輝き続ける理由。
連載企画「冨永愛 自分に、誰かに、世界にーー美しく生きる。」全8回にわたってお届け致しました。バックナンバーはこちらからご覧頂けます。
<撮影協力>
・フォトグラファー:ITARU HIRAMA
・スタイリスト:SOHEI YOSHIDA (SIGNO)
・メイク:Mio (SIGNO)
・協力:UNDER GROUND
・コーディネーション:TRANSMEDIA Co.,Ltd
<商品に関するお問い合わせ>
HiRAO INC [ヒラオインク]
〒150-0001 東京都渋谷区神宮前1-11-11-608
03-5771-8809
冨永愛
17歳でNYコレクションにてデビューし、一躍話題となる。以後、世界の第一線でトップモデルとして活躍。モデルの他、テレビ、ラジオ、イベントのパーソナリティなど様々な分野にも精力的に挑戦。日本人として唯一無二のキャリアを持つスーパーモデルとして、チャリティ・社会貢献活動や日本の伝統文化を国内外に伝える活動など、その活躍の場をクリエイティブに広げている。2019年秋、TBSドラマ日曜劇場「グランメゾン東京」では主要キャストとして抜擢、女優としても活躍。公益財団法人ジョイセフアンバサダー、エシカルライフスタイルSDGs アンバサダー(消費者庁)
初翻訳となる女の子を応援する絵本『女の子はなんでもできる!』(早川書房)が楽天ブックスで 1 位(外国の絵本部門2020年11月24日~11月25日)となり、絵本としては異例のスピードで重版が決まり、読みやすく、元気になる言葉は、子どもからも評判を得ている。原題は”Girls Can Do Anything”(文:キャリル・ハート 絵:アリー・パイ)
冨永愛さんによる読み聞かせ動画はこちらから https://youtu.be/bMJrWM-xpfw
文・中津海麻子
慶応義塾大学法学部政治学科卒。朝日新聞契約ライター、編集プロダクションなどを経てフリーランスに。人物インタビュー、食、ワイン、日本酒、本、音楽、アンチエイジングなどの取材記事を、新聞、雑誌、ウェブマガジンに寄稿。主な媒体は、朝日新聞、朝日新聞デジタル&w、週刊朝日、AERAムック、ワイン王国、JALカード会員誌AGORA、「ethica(エシカ)~私によくて、世界にイイ。~ 」など。大のワンコ好き。
構成・大谷賢太郎
あらゆる業種の大手企業に対するマーケティングやデジタルの相談業務を数多く経験後、2012年12月に『一見さんお断り』をモットーとする、クリエイティブ・エージェンシー「株式会社トランスメディア」を創業。2013年9月に投資育成事業として、webマガジン「ethica(エシカ)」をグランドオープン。2017年1月に業務拡大に伴いデジタル・エージェンシー「株式会社トランスメディア・デジタル」を創業。2018年6月に文化事業・映像事業を目的に3社目となる「株式会社トランスメディア・クリエイターズ」を創業。
創業9期目に入り「BRAND STUDIO」事業を牽引、webマガジン『ethica(エシカ)』の運営ノウハウとアセットを軸に、webマガジンの立ち上げや運営支援など、企業の課題解決を図る統合マーケティングサービスを展開中。
「冨永愛 美の法則」(ダイヤモンド社)概要
世界的トップモデル冨永愛のランウェイで学び得た「美しい人になる習慣」。究極の美肌術、ボディメイク、美しい歩き方、食べ方、仕事、セックス、美の哲学ほか、アジアを代表するスーパーモデルのビューティーライフ。20年間、パリコレをはじめ、世界最高の美の価値観に触れてきた著者だからこそ話せる「美の法則」。
詳しくはこちらから
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp