数ある認証制度がある中、取得の厳しさから、日本ではまだ32社しか認証に至っていない「B corp認証」を取得した、小さな会社のお話です。(記事:エシカちゃん)
グローバル認証「B Corporation™(ビーコーポレーション)」
「サスティナブル」という言葉が聞こえ出してからというもの、消費者や投資家は、「サスティナブルについての取り組みを行っているか?」という観点から、商品の購入や投資先を選択するようになりました。
こうした背景を受け、企業はより、「社会や環境に配慮した事業展開」について考え、自社の取り組みを公表することに力を入れています。
口先だけの取り組みではないことを証明する為には、どうしたら良いのか・・。
そこで企業が頼るのが、第三者機関に依頼をして行う「認証制度」です。
認証制度は、自社の取り組みが基準に基づいているかを第三者機関に審査してもらい、適合していることを証明してもらいます。
B corp認証とは
「B corp認証」は、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際的な認証です。
米国の非営利団体のB Labが社会や環境、従業員、顧客といったすべてのステークホルダーに対する利益を評価します。
認証取得が厳しいと言われる所以
約200の項目に基づく認証試験のクリアが必要
認証には、オンライン認証試験「B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)」を受験し、約200の質問のうち80点以上を獲得する必要があります。
書類審査や海外事務局によるヒアリング面接
法的要件についての回答やB Corporationの規定に沿った定款文書作りが必要となります。B Corp認証には日本語記載のページがない為、申請等はすべて英語で行わなくてはなりません。
試験や書類の提出を行なった後には海外事務局によるヒアリング面接が行われ、これを無事通過することが出来れば、ようやく「B corp認証」が与えられます。
日本のフェアトレードブランドとしては初の取得
「真の豊かさと美しさを、すべての人へ」をコンセプトに事業を行う、株式会社andu ametは、レザー製品の製造・販売を行う小さな会社です。
「新しい商品をどんどん買わせるため」の消費活動に疑問を持ち、得意なデザインを活かして「社会の為に何かしたい」と考えた創業者の鮫島弘子さんが、エチオピアに単身で渡り工房の立ち上げから奔走すること2年――。
日本での販売を開始する為に、2012年、株式会社andu ametを設立しました。
andu ametが扱うのは、世界最高峰の羊皮「エチオピアシープスキン」を使ったエシカルかつラグジュアリーなレザー商品の数々です。
「レザーはエシカルではない」と言う人もいますが、よくよく考えてみると、食肉用の家畜の皮や毛は、使われなければ産業廃棄物となってしまいます。
「動物素材はダメ」という短絡的な思考から抜け出し、考えた抜いた結果、あえて、食肉の副産物であるレザーを商品に使用しています。
andu ametが続けるサステナビリティ
andu ametは、創業時からアフリカの職人たちに技術を指導し、公平な賃金を支払う等、現地の従業員に対する様々な仕組み(下記参照)を整備してきました。
<こんな仕組みを導入しています>
・最低限の読み書きや計算ができるようになる為に、働きながら就学できる時短勤務制度。
・国や自治体による保障制度が整っていない中で、病気や出産、その他の理由で一時的に仕事ができなくなっても生活ができるような給与制度。
B corpの「B Impact Assessment(Bインパクト・アセスメント)」の測定でも、「従業員」の項目で特に高いスコアを獲得しています。従業員の経済的安全、健康と安全、ウェルネス、キャリア開発、エンゲージメントと満足度等への貢献が評価された結果です。
この他にも、使用するエネルギーをより環境に配慮されたものに変更したり、製品やラッピングからプラスチック素材を排除する等、本当にひとつひとつ取り組みを増やしながら、それらを継続し、発展させています。
andu amet公式サイト
andu ameのサステナビリティの取り組み
https://anduamet.com/pages/sustainability
B corpの該当ページ
https://www.bcorporation.net/en-us/find-a-b-corp/company/andu-amet-ltd
以前、インタビューで鮫島さんが話されていた「エシカルって、本来は『考える』ことなんだと思います。」との言葉は、消費する側にとっても心に留めておきたいこと。
自分が良いと思うことを大切にしてくれる企業と共に、未来について考えていきたいから、商品を購入する際、「B corp」の認証を受けた企業か?という観点から、商品選びをはじめてみたいと思います。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp