「自然を守ること」と「人が生きること」その双方を模索するユネスコの取り組みをご紹介します。世界各国にある登録された地域から、「自然と人間社会の共生」が目指されています。(記事:エシカちゃん)
ユネスコエコパークとは
「ユネスコエコパーク」という名称を聞いたことがありますか?
ユネスコエコパークとは、「人間と生物圏(MAB)計画」に基づいてユネスコが認定する生物圏保存地域(Biosphere Reserves: BR)のこと。
小難しい「BR」をより身近に感じてもらえるようにと、日本では、ユネスコエコパークとの愛称で呼ばれるようになりました。
ユネスコが関わる事業として世界自然遺産がありますが、世界自然遺産が、自然を厳格に保護することを主目的としているのに対し、ユネスコエコパークは、自然を保護するだけではなく、そこで暮らす人々との「持続的な発展」に重きを置きます。
言うなれば、ユネスコエコパークとは、地域の自然資源を活用した持続可能な経済活動(自然と人間社会の共生)を進めているモデル地域のこと。
2023年現在、世界134か国748地域がユネスコエコパークとして登録をされ、自然保護と人々の生活の両立を目指して様々な取り組みを行なっています。
ユネスコエコパークの役割
ユネスコエコパークの役割を理解するには、ユネスコエコパーク内で3つに区分された地域(エリア)から、紐解いていくのが良いかもしれません。
1、核心地域
多くの動植物の生態が可能な地域。核心地域の多くは、国立・国定公園や国有林の保護林として保全されています。
→生物多様性の保全
2、緩衝地域
核心地域の周囲または隣接する地域。この地域では、調査研究活動や教育研修、森林セラピー、エコツーリズム等、自然の保全と持続可能な利活用への理解の増進、将来の担い手の育成が行われています。
→学術的研究支援
3、移行地域
人が住み、生活を営んでいる地域。自然環境の保全と調和した持続可能な発展が為されている地域です。
→経済と社会の発展
南アルプスユネスコエコパークにて10周年記念大会が開催されます
日本国内には、1980年に登録された、「志賀高原ユネスコエコパーク(長野県、群馬県)」を筆頭に、現在、10箇所の地域がユネスコエコパークとして登録をされています。
そんな国内のユネスコエコパークの中の1つ「南アルプスユネスコエコパーク」が、2024年12月14日〜15日に、登録10周年を記念した記念大会を開催します。
3,000m峰が連なる急峻な山岳環境に固有種が多く生息・生育するという、壮大な自然環境を有する南アルプス。3県10市町村にわたる地域が、「高い山、深い谷が育む生物と文化の多様性」という理念のもとに結束し、自然の恩恵を活かした魅力ある地域づくりを行なっています。
「南アルプスユネスコエコパーク10周年記念大会」では、「未来につなげ!ライチョウの生きる山々、南アルプス」をテーマに、ライチョウの貴重な写真展や専門家による講演、ワークショップ等が実施される予定です。
ぜひ、この機会に「ユネスコエコパーク」を訪れて、人と自然が共存する持続可能な未来について、考えてみてください。
南アルプスユネスコエコパーク10周年記念大会
開催日時:12月14日(土)〜15日(日)10:00~17:00
開催場所:静岡市民文化会館
ユネスコエコパークの取り組みを見ていると、人の介入を閉ざすことが、イコール「環境保護」という訳ではないことに気が付きます。人間も含めて(しかしながら人間だけではない)「環境」。ユネスコエコパークには、そんな連なりへの眼差しが根付いているような気がします。
記者:エシカちゃん
白金出身、青山勤務2年目のZ世代です。流行に敏感で、おいしいものに目がなく、フットワークの軽い今ドキの24歳。そんな彼女の視点から、今一度、さまざまな社会課題に目を向け、その解決に向けた取り組みを理解し、誰もが共感しやすい言葉で、個人と世界のサステナビリティーを提案していこうと思います。
私によくて、世界にイイ。~ ethica(エシカ)~
http://www.ethica.jp